森林のもつ休養機能の評価に関する研究

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02452253
• Research Institution: Mie University
• Principal Investigator: 飛岡 次郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (90024588)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 芝 正己 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20144339) ; 山崎 忠久 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40024567)
• Keywords: 森林 / 休養機能 / 空間環境 / 運動生理反応 / 酸素摂取量 / 心拍数 / 数量化理論 / 評価

Research Abstract

本研究は、森林を休養の場として利用する場合に、森林の環境特性や地形が森林のもつ快適性として人間の生理的機能にどのように関与するかを、運動生理学的手法を用いて数量的に測定・解析・評価し、保健休養機能を利用する森林の整備と維持管理に必要な基礎資料を提供することを目的として、3年計画ではじめられたものである。
今年度は、継続研究の第2年目であり、森林(人工林と天然林)内、自動車専用道路に隣接した林縁広場および研究室内のような異なる自然的条件を含む空間環境内で、自転車エルゴメ-タを用いて一定量の運動負荷を与えた被験者12名の運動生理反応を呼気ガス分析システム、心拍数測定装置、血圧計等を使用して測定するとともに、林内歩行路上での歩行予備実験を実施した。測定項目は、心拍数、酸素摂取量、換気量、血圧、主観的運動強度、および実験中の気温、湿度、照度等を1分ごとに測定し記録した。
上記の方法により測定したデ-タに数量化理論第I類を適用し、空間環境の違いが人間の生理的機能に与える影響について検討した。その結果、森林内と研究室内では心拍数の変動率に差があり、森林内では研究室内に比べて運動中の心拍数の増加率が低く、休息中の回復率が高くなった。この傾向は、人工林よりも天然林のほうが著しいことが明らかになった。また、自動車専用道路に隣接した林縁広場では運動中の心拍数増加率が研究室や森林内より高く、回復率はそれらより低い結果となった。さらに、運動中と休息中の酸素摂取量および換気量についても森林内が他よりも大きい傾向のあることが判明した。現在、上記の各測定デ-タを用いて心拍数、酸素摂取量および主観的運動強度の相互関係等を実証的に解析し、環境の違いが人間の生理的機能に与える影響の最適評価法等について検討中である。

Research Products

• [Publications] 山崎 忠久: "森林のもつ休養機能の評価に関する研究(II)ー空間環境の違いが人間の生理的機能に与える影響ー" 第102回日本林学会大会発表論文集. 679-682 (1991)
• [Publications] 山崎 忠久: "森林のもつ休養機能の評価に関する研究(III)ー空間環境の違いが人間の生理的機能に与える影響(2)" 第103回日本林学会大会発表論文集. (1992)