Research Abstract |
本年度は,浸透破壊問題の典型的な一例である矢板背後地盤の上昇浸透流による破壊について考察を行った。まず,実際に問題を生じた事例について,詳しく調査し解析を行い問題点を明らかにした。そして,その事例について学会誌に投稿し,解析結果を関連のシンポジウムで発表する予定である。このように,矢板背後地盤の浸透破壊問題は,いまだ不明解な所も多く,解決されなければならない点も多々ある。この問題に関しては,これまで多数の研究者によって理論式が提案され関連文献も多々存在する。本年度は,これらの文献を多数収集し,その分類,整理を行った。この成果については,学会で口頭発表を行い,雑誌論文として投稿してゆく予定であ る。 次に,二次元浸透破壊実験に関しては,仮締切り矢板前後の地盤の浸透流について考察を行った。2つの試料(豊浦標準砂,琵琶湖砂)を用いて,供試体を作成し実験を行った。実験では,作成した供試体が均質に作成されているかどうか,異方性を有していないかどうかを調べるため,地盤内の間隙水圧を詳細に観測した。そして,その観測結果を解析するシステムを作成し,地盤の均質性,異方性をチェックする手法を考案した。さらに検討を加え本システムを確立してゆく予定である。また,実験においては,AEセンサ-を取り付けAE計測を行った。AEに関しては,まずAEセンサ-の取り付け位置について検討を行った。次に,矢板背後の地盤が破壊に至るまでに発生するAE特性について明らかにした。そして,AE発生の段階の変化,水頭差〜流量関係の変化,地盤表面の形状の変化,問隙水圧分布の変化がそれぞれ一対一対応していることを明らかにした。本実験は大がかりなものであり,一つの実験に一ケ月程度を心要とする。ここで得られた結果を検証するため,さらに種々の条件について実験を行い実験デ-タの充実を図ってゆく予定である。
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