1991 Fiscal Year Annual Research Report
X線および核医学診断に伴う患者・医療従事者の被曝評価とリスク推定に関する研究
Project/Area Number |
02452264
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草間 朋子 東京大学, 医学部(医), 助教授 (50134523)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 倫明 東京大学, 医学部, 助手 (10185697)
太田 勝正 東京大学, 医学部, 助手 (60194156)
小西 恵美子 東京大学, 原子力研究総合センター, 助手 (70011054)
別所 遊子 東京大学, 医学部, 講師 (20190176)
|
Keywords | 上部消化管透視検査 / 胎児線量 / in vivo核医学検査 / リスク評価 / 医療従事者の被ばく / 患者の被ばく |
Research Abstract |
1.消化管透視検査における患者の被曝線量の測定とリスク評価: 人間ドックなどの健康な成人を対象とする上部消化管X線検査における透視時間、撮影枚数などを調査するとともに、患者の皮膚線量を実測した。この結果、皮膚線量の最大値が210mGyであり、施設間で最大と最小とで20倍以上の差があることが確認された。さらに、撮影時に得られた皮膚線量の実測値をもとに、モンテカルロ法を用いた計算シミュレ-ションと撮影のシナリオから子宮位置での線量を推定する方法を作成した。この結果、胎児線量が最大で5.5mGyに達することがあることが推定された。 2.In vivo検査の際の患者の線量評価に必要な放射性医薬品の体内動態: 最も、典型的な核医学検査である骨シンチ( ^<99m>TcーMDP)、肺シンチ( ^<99m>TcーMAA)、腎シンチ( ^<99m>TcーDMSA,DTPA)、心筋シンチ(^<201>T1)および腫瘍シンチ( ^<67>Ga)に着目し、患者排泄尿中の放射能の経時的測定、患者体表面における腹部表面の積算線量測定(TLD使用)、および一定距離における患者からの線量率測定(電離箱サ-ベイメ-タ使用)を行い、患者の線量評価に必要な基礎情報を得た。 3.医療従事者の被曝線量測定とリスク評価: 放射線診療従事者の被ばく線量の測定・評価は、フィルムバッジを用いて第三者機関であるフィルムバッジサ-ビス機関によって行なわれている。この機関のデ-タを参考に、放射線診療従事者の被ばく線量を分析した。その結果、職業被ばくの線量当量限度を超える作業者が存在することも明かとなった。また、ICRP1990年勧告が適用された場合には、医療領域では従事者の被ばく線量低減にかなりの努力が必要であることも明かとなった。そこで、現在の放射線診療の実態を考えた場合、従事者の被ばく線量が比較的多い業務であるDSAおよび注腸造影検査に着目して、個々の検査毎の従事者の被ばく線量(実効線量当量、水晶体および皮膚線量当量)をTLDを用いて実測し、被ばく低減のための提案を行なった。
|