1991 Fiscal Year Annual Research Report
慣用看護動作に関する人間工学的研究ー患者の移動動作を中心にー
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02452269
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Research Institution | Ehime College of Health Science |
Principal Investigator |
池田 澄子 愛媛県立医療技術短期大学, 専攻科, 助教授 (00202888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 百合子 愛媛県立医療技術短期大学, 第一看護学科, 助手 (60208402)
野島 一雄 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (50189396)
鈴木 ルリ子 愛媛県立医療技術短期大学, 第一看護学科, 講師 (60206555)
長 和典 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (40093926)
門田 成治 愛媛県立医療技術短期大学, 一般教養科, 助教授 (40204515)
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Keywords | 人間工学 / 動作解析システム / 動作分析 / 作業姿勢 / 筋力 / 筋活動電位 / 運搬 / 手 |
Research Abstract |
1動作解析システムの確立ー看護学生8人による予備実験の結果、ビデオ撮影.再生による動作のコンピュ-タ分析とポリグラフによる筋電図、手指の把持力、足底にかかる重心動揺の同時測定できるシステムを確立した。 2「シ-ツを用いて行う患者移動」の実験動作ー順手.逆手のシ-ツの握り方によるベットからストレッチャ-への患者移動を行い、手前に引く動作ー「順引」.「逆引」、向こうへ送る動作ー「順押」.「逆押」の4動作とした。 3実験結果ー被験者はストレッチャ-側で患者の頭部に位置するものとした。ー臨床経験5年以上の看護婦8名の実験からー(1)動作解析(被験者の頭頂部、肩峰部、肘部、手首、大転子部、膝部、足首、模擬患者の前額部の8ポイントによる):動作は、1期(持ち上げる)ー頭部変位開始から最初の停滞まで、2期(引っぱる)ー頭部変位再開から手首変位最高値にいたるまで、3期(下ろす)ー手首変位最高値から動作終了までの3段階に分けることができた。平均所要時間は「順引」1.70±0.13秒、「順押」1.52±0.13秒、「逆引」1.50±0.14秒、「逆押」1.53±0.08秒で、各動作間に有意差はなかった。「引」ー「押」間の所要時間の差は、順手の方が大きかった。また、ステックピクチャ-に見られる手首の上下変動は、順手が逆手より大きかった。模擬患者は、移動時の安定感は逆手の方がよいと感じていた。(2)筋の活動:上腕二頭筋、上腕三頭筋、腕橈骨筋、三角筋、僧帽筋、最長筋の筋電図積分値(IEMG)の合計(総IEMG)を総仕事量、総IEMGに対する各筋のIEMGの割合を各筋の寄与として検討した。両者とも被験者間で大きな差異はあったが、各動作間の有意差はなかった。各筋の最大筋力を示す筋電図積分波形のピ-クは「押」は1期に、「引」は2期に多くの筋が集中していた。ピ-ク到達時間は上腕二頭筋.腕橈骨筋.最長筋で、「逆押」が「順押」に比して長かった。(3)動作時の把持力(示指、中指、環指、小指):「順引」.「逆引」時の4指の平均把持力は、「順引」21.3±3.2kg,「逆引」14.6±2.2kgで、「順引」が有意に大きかった。4脂の把持力は環指が最も大きかった。4指のふるまい方では、示指と中指、環指と小指が共調して働いていることがわかった。この時の総IEMGは、「順引」の方が大きかった。ー看護学生8名の実験結果からー(4)動作解析による肩関節角度(肘頭ー肩峰ー大転子部のなす角度):肩関節角度は、個人及び動作によってばらつきが見られた。ばらつきは「順引」が非常に大きく、「逆押」が非常に少なかった。肩関節角度は、順手の方が経時的変位が大きく、角度の値も大きい傾向にあった。「順引」では、患者の頭部が最も高い位置に持ち上げられている時に最大角度をとる場合が多く、患者が不安定になる要因と考えられた。以上、動作の構造について明らかにしてきた。現在、熟練看護婦4名の実験結果から、動作と重心動揺の関係について分析を行うと同時に、基礎的実験をもとに「動作のモデル化による各筋の活動の評価尺度の算出」、「消費エネルギ-の理論的算定について」検討を加えているところである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 野本 百合子: "シ-ツを用いて行う患者移動に関する研究(第一報)ー動作解析システムによる順手.逆手の検討ー" 日本看護科学学会誌 第11回日本看護科学学会講演集. 11(3). 88-89 (1991)
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[Publications] 池田 澄子: "シ-ツを用いて行う患者移動に関する研究(第二報)ー動作解析と筋電図による順手.逆手の方法の検討ー" 愛媛県立医療技術短期大学紀要. 4. 85-93 (1991)
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[Publications] 鈴木 ルリ子: "シ-ツを用いて行う患者移動に関する研究(第三報)ー患者移動動作時の看護者の把持力ー" 愛媛県立医療技術短期大学紀要. 4. 164-173 (1991)
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[Publications] 乗松 貞子: "シ-ツを用いて行う患者移動時のシ-ツの握り方ー臨床看護婦の「シ-ツを用いて行う患者移動」についての実態調査ー" 愛媛県立医療技術短期大学紀要. 4. 41-46 (1991)
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[Publications] 野本 百合子: "シ-ツを用いて行う患者移動の動作解析ー肩関節角度についての検討ー" 第23回日本看護学会看護総合. (1992)