1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02452283
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
吉村 順一 山梨大学, 工学部, 助教授 (50011218)
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Keywords | 結晶モワレ現象 / X線干渉計測 / X線回折物理学 / X線回折光学 / X線トポグラフィ / 結晶微小歪計測 / X線多結晶回折 / 動力学的回折理論 |
Research Abstract |
1.(1)交付申請書では、研究項目の第1に「モワレ縞振動の振幅分布とその試料状態による変化」の研究を挙げた。既存デ-タの解析は目標の半ばくらいに達したが、これによって以下のことが分かった。(1)モワレ模様内の狭い領域でみると、振幅は傾角回転(複結晶1片のωー2θ軸の回りの回転)に対し非単調な周期的変化を示す。(2)モワレ模様内で振幅の大きな領域は縞コントラストが低下し、縞のぼけが起きている領域に合致する。(3)この、縞のぼけ領域は典型的には(傾角回転の加重LがL=0のとき)、入射面に垂直(回転モワレ縞に垂直)な帯状領域となって現れる。(4)現れる帯数は、L≠0の場合も入れてまとめると、L=+0.2,0.0,-0.2gの各々で2,3,4本/cmとなる。(5)透過波像と回析波像では、この帯波のぼけ領域は相補的に、互いに半間隔ずれた形で配置している。(2)帯状ぼけ領域の上記のような特徴と様態はモワレ縞が消衰縞と交差したときのそれら[Hashimoto et al.:Phil.Trans.A253(1961)490]によく類似している。但し、類似は完全ではなく、以下のような不一致もある。(1)交差位置におけるモワレ縞の位置ずれは縞によって変化し不均一である。(2)帯状領域の両側間でモワレ縞数の不連続的増減がよく観察される。(3)本研究の場合、考えられる消衰縞は等傾角縞である。複結晶1片の厚さで評価すると、1縞間隔は0.15秒の傾角に相当する。上述のような出現帯数は0.3〜0.6秒/cmの湾曲変形の存在を意味する。すでにL=0の状態でこのような湾曲が有ったと仮定すると上記(1)(4)に述べた事実も定性的に説明がつく。(4)以上の考察から、ぼけた帯状領域は等傾角縞を表していると思われる。このことは、モワレ縞振動(非投影性)が傾角回転に関係していることを意味する。 2.交付申請書の第2、第3の研究項目についても報告すべき内容がある。しかし紙幅が尽きたので割愛する。
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[Publications] 吉村 順一: "Study of Crystal Moire" Photon Factory Activity Report. 7. 212 (1990)
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[Publications] 吉村 順一: "Some Characteristics of Nonprojective Xーray Moire Fringes" Acta Crystallographica,Sect.A. 46. C424-C425 (1990)
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[Publications] 吉村 順一: "Observation of Nonprojective Moire Fringe Patterns Produced with an Xーray Interferometer" Acta Crystallographica,Sect.A. 47. 139-142 (1991)
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[Publications] 吉村 順一: "Study of Nonprojectiveness of Xーray Moire Fringe Patterns" Photon Factory Activity Report. 8. 322 (1991)
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[Publications] 吉村 順一: "シンクロトロンを使ったモワレ縞の研究" 日本結晶学会誌. 34. 27-30 (1992)