1990 Fiscal Year Annual Research Report
單繊維の異方性力学特性・熱伝達特性と被服材料の性能との関係
Project/Area Number |
02452285
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
丹羽 雅子 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (80031665)
|
Keywords | 異方性力学定数 / 繊維軸方向のヤング率 / 繊維軸と直交する方向の彈性率 / せん断彈性率 / ポアソン比 / ねじり剛性率 / 繊維間摩擦時性 / 糸の交差角変化に伴う抵抗トルク特性 |
Research Abstract |
(1)被服材料の性能を決める基本になる單繊維の異方性力学特性の中で,繊維の軸方向の性質,繊維軸と直交する方向の性質およびねじり特性の測定を單繊維の断面形状が円形の代表的な衣料用繊維として,ポリエステル,ナイロン,アクリル,羊毛について行なった。さらに高性能繊維としてのアラミド,カ-ボン,セラミック,ガラス繊維についても異方性彈性定数を測定し,その大略を捉えた。また、綿、絹、麻などの繊維の断面形状が円形でない繊維についても顕微鏡によって断面積を測定して、單位断面積当りの伸長およびねじり特性を精密に測定することにより、綿、羊毛、絹は等方性に近く、化学繊維はこれらに比べて異方性の大きいことを明らかにした。しかし、天然繊維のなかでも麻は異方性の大きい特徴をもつことも判明し、多数の衣料用繊維のもつ異方性力学特性の範囲ならびに繊維の分子配向度との関係を見出した。 (2)代表的な衣料用繊維について、標準空気条件下における異方性力学定数に対する湿潤時の同特性を測定して、異方性力学定数におよぼす水分の影響を明らかにしようとした。その結果、ポリエステルやアクリル繊維の水分の影響による変化は、ナイロンや羊毛繊維に比らべて小さく、これらの繊維では、特に繊維軸を直交する方向の彈性率やねじり特性において水分の影響が顕著にみられることを明らかにした。 (3)單繊維の異方性力学特性が交差糸の交差角変化に伴う抵抗トルク特性に関係することを明らかにし、さらに布のせん断変形特性,なかでもせん断ヒステリシス特性との関連づけを行なった。高配向したポリエステル繊維は軸方向の彈性率は大きく彈力に富むが、繊維集合構造をとらせひときの横圧縮による圧縮彈性率の低さのため、繊維間摩擦が大きく、糸の曲げ、ねじり変形におけるヒステリシスの増大、さらには布の曲げ、せん断変形においても大きなヒステリシスを生むことを考察した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Masako Niwa他: "Anisotropic Mechanical Properties of Typical Apparel Fibers" Proc.of the 19th Textile Research Symposium The Textile Machinery Society of Japan. 11-14 (1990)
-
[Publications] Masako Niwa他: "Application of Objective Measurement to Clothing Manufacture" International Journal of Clothing Science and Technology. 2. 18-33 (1990)
-
[Publications] Masako Niwa他: "Analysis of Mechanical Fatigue Phenomena in Wool and Wool Blend Suiting Fabrics" Textile Research Journal. 61. 1-10 (1991)
-
[Publications] Masako Niwa他: "複服材料における熱輸送の特性" 熱物性. 5. 23-30 (1991)
-
[Publications] Masako Niwa他: "NonーLinear Theory of the Biaxial Deformation of Triaxial Weave" Journal of the Textile Institute. (1991)
-
[Publications] Masako Niwa他: "Anisotropic Elastic Constants of Typical Apparel Fibers" Journal of the Textile Institute.