1991 Fiscal Year Annual Research Report
軽水炉燃料要素中のトリチウムインベントリ-と冷却水へのトリチウム移行量の評価
Project/Area Number |
02452295
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉崎 昌和 九州大学, 工学部, 教授 (10037905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 雄治 九州大学, 工学部, 助手 (80218487)
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Keywords | ジルコニウム / ジルカロイ / 酸化腐食 / オ-ジェ電子分光 / トリチウム / 拡散 |
Research Abstract |
今年度は下記の2項目についての実験的研究を行った。 (1)ジルコニウムおよびジルカロイの熱水条件下で酸化による腐食機構を解明するため、酸素ガスによる初期酸化構をオ-ジェ電子分光法で調べた。βクエンチした試料とαーアニ-ルした試料を数十nmのオ-ダ-酸化した段階では、熱処理による違いは見られなかった。しかし、数百nmのオ-ダ-酸化させると酸化速度に違いが観察された。この酸化速度の差の原因は、酸化により形成された酸化膜上での酸素分子の解離・吸着速度の差異に帰着された。すなわち、αーアニ-ルした試料では粒界に沿って直径数百nm以上の金属間化合物(ZrFe_2)の析出が観測され、この析出物が電子の輸送経路となり、酸素分子の吸着・解離が促進されるものと解釈した。この仮設を実証するため、酸化膜の電子伝導度を測定する必要があるので、金属表面上の薄膜状態の酸化物の電子伝導度を測定する手法を開発する予定である。 (2)ジルコニウムおよびジルカロイには酸素が大量に溶解するので、この溶存酸素がトリチウムの拡散係数に多大の影響を与える可能性がある。しかし、従来の他研究者による報告では影響がないとされており、疑問がある。従って、この点を詳しく調べるため、ジルコニウム中のトリチウムの拡散係数を精度良く測定する新しい実験手験手法を開発した。すなわち、軽水素ガスの放電によりジルコニウム中に軽水素を打ち込み、その拡散プロファイルを数cmのオ-ダ-で測定することにより、精度良く拡散係数が測定できることを実証した。今後、トリチウムについて実験を行なう予定である。
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