1991 Fiscal Year Annual Research Report
富士火山と周辺湖沼群における自然環境の複合システムの解明
Project/Area Number |
02452298
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田場 穣 日本大学, 文理学部, 教授 (20059439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陶野 郁雄 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 室長 (00016479)
遠藤 邦彦 日本大学, 文理学部, 教授 (70059781)
堀内 清司 日本大学, 文理学部, 教授 (60059037)
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Keywords | 自然環境 / 湖沼堆積物 / 湖水位変動 / 花粉分析 / 珪藻分析 / テフラ / 富士火山 / 富士五湖 |
Research Abstract |
富士山を中心にしその周囲の富士五湖を含む地域の自然変動のシステムを理解するため,五湖の湖水位変動資料の収集,富士山麓地域での現地調査,主に山中湖の湖底ボ-リングコアのテフラ分析,年代測定,古環境解析等を行って検討した. 1.富士五湖の水位記録について解析を行い,水位変動の変化パタ-ンを検討した.これらと気候デ-タや湧水資料との関係も検討した.水収支諸量の変遷過程との関連において湖水位変動のメカニズム解明を図るための基礎資料が得られた. 2.富士山北麓・北東麓部でのテフラ層序を詳しく検討し,完新世の富士火山の活動史(上杉他,1978;宮地,1986等)に対して,さらに新しい知見を加えることができた. 3.山中湖で既に得ているボ-リングコアについて,昨年度に続き,花粉,珪藻,テフラ分析を進めた結果,昨年の予察的な検討結果を一部修正する必要が生じた.最近2000〜2500年間の環境変遷については,特に,加速器を用いた新たな14C年代測定により,山中湖の湖沼化の年代は1800年前と決定された.すなわち,珪藻分析から1800年前のテフラの降下直後から浮遊性種が急増し,このテフラを挟んで,水路の発達するような湿地的環境から,現在と同じ水深のある湖の環境に変化したことが明らかとなった.またこの間の花粉組成は周囲で得られたこの時期のものと矛盾がないが,特に,スギ属花粉の増加・減少から過去2000年間の環境の推移が明らかとなった.それは富士山東麓の御殿場地区と同様の傾向を示した. 以上を総合して,富士山周囲の自然変動システムを検討した.特に新たな知見として,山中湖の成立の過程,年代,鷹丸尾溶岩流の流下の関係が初めて証拠づけられた.さらに多くの地点で検討を進める必要がある.
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[Publications] 遠藤 邦彦: "火山噴火の地形へのインパクト" 第四紀研究. 30. 399-408 (1992)
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[Publications] 遠藤 邦彦: "山中湖の地形とその成因" 日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要. 27. (1992)
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[Publications] 堀内 清司: "富士の隆水学的特性" 日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要. 27. (1992)