1990 Fiscal Year Annual Research Report
有機光反応系におけるスピン分極保持エネルギ-移動の研究
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02453002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池上 雄作 東北大学, 非水溶液化学研究所, 教授 (60006294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生駒 忠昭 東北大学, 非水溶液化学研究所, 助手 (10212804)
秋山 公男 東北大学, 非水溶液化学研究所, 助手 (10167851)
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Keywords | 光化学反応 / スピン分極 / エネルギ-移動 / 時間分解EPR / ピリジニルラジカル / 三重項状態 |
Research Abstract |
本年度は、有機光反応系におけるスピン分極保持エネルギ-移動過程について解明するために、三重項エネルギ-供与体・受容体の励起エネルギ-とスピン分極移動との関係について研究した。また、分子内過程について明らかにするために、数種のスピロ分合物を準備し、スピン分極移動について研究した。 主として得られた研究実績は、 1.ピリジニル二量体を対象として、分子間エネルギ-移動過程でのスピン分極移動について研究を進めた。励起三重項状態の励起エネルギ-と電子スピン分極の異なる9種の三重項増感剤を用い、スピン分極保存について、時間分解電子スピン共鳴(TREPR)法により観測した。その結果、供与体の励起エネルギ-が受容体(ピリジニル二量体)のそれより高い時にはスピン分極はエネルギ-移動過程で完全に保存されるが、低いときには、分極移動が起こらない事を確認した。供与体の励起エネルギ-を系統的に変化させた実験により、受容体の励起エネルギ-が不明な場合には、そのエネルギ-値を確定するために、この手法が応用できることも明らかにした。 また、エネルギ-移動速度とスピン分極移動について定量的な解析を行うため過渡吸収法の結果を蓄積し、電子スピン緩和時間との関連について研究を進めている。 2.分子間エネルギ-移動過程での電子スピン分極保存について、定性的にはその一般性が確認できたので、より本質的な知見を得るために、供与体・受容体の分子主軸を相互に固定した分子について研究した。 分子配向の相互に異なる三種の化合物を合成し、分子内三重項ー三重項エネルギ-移動過程で成り立つスピン分極の保存則について明らかにした。受容体のTREPRスペクトルの解析から、電子スピンの主軸系の相対的配向に応じてスピン角運動量が保存されて受容体にスピン分極が移動している事が判明した。逆にこれら二つの発色団の分子主軸系の相対的配向関係を、受容体のTREPRスペクトルの解析から決定できる。現在、その応用として、均一系・不均一系に分散された供与体ー受容体系についての研究を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Akiyama A.Kaneko S.TeroーKubota Y.Ikegami: "Spin Polarization Conservation during TripletーTriplet Energy Transfer in Fluid Solution As Studied by TimeーResolved ESR Spectroscopy." J.Am.Chem.Soc.112. 3297-3301 (1990)
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[Publications] T.Ikoma K.Akiyama S.TeroーKubota Y.Ikegami: "CIDEP Studies on Radicals Produced from Photochemical Reactions of Some Aromatic Carbonyl Compounds." Chem.Lett.1491-1494 (1990)
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[Publications] S.TeroーKubota K.Akiyama T.Ikoma Y.Ikegami: "TimeーResolved EPR Studies on the Photochemical Hydrogen Abstraction Reactions and the Excited Triplet States of 4ーSubstituted Pyridines." J.Phys.Chem.95. 766-770 (1991)
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[Publications] T.Hirano,T.Kumagai T.Miyashi,K.Akiyama Y.Ikegami: "Photoreactions of Benzyhydrilidenequadricyclane and Quadricyclanone:A New Route to Trimethylenemethane and Oxyallyl Intermediate." J.Org.Chem.56. (1991)
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[Publications] K.Takahashi T.Suzuki K.Akiyama Y.Ikegami: "Synthesis and Characterization of Novel pーTerphenoquinone Analogues Extended by DihydrothiophenediylideneーInsertion into pーDiphenoquinone." J.Am.Chem.Soc.113. (1991)
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[Publications] K.Akiyama S.TeroーKubota Y.Ikegami: "Spin Polarization Transfer during the Intramolecular TripletーTriplet Energy Transfer under External Magnetic Field in a Rigid Matrix as Studied by TimeーResolved EPR Spectroscopy." J.Am.Chem.SoC.