1990 Fiscal Year Annual Research Report
結晶、配向無秩序結晶および液体の定積熱容量と分子運動
Project/Area Number |
02453008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小國 正晴 東京工業大学, 理学部, 助教授 (50144423)
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Keywords | 高圧熱容量 / 相転移 / 配向無秩序結晶 / 分子運動 |
Research Abstract |
1.今日、高圧下熱容量・体積同時自動測定装置は世に報告されたことがない。本研究目的の一つはその装置を製作することであり、平成2年度では装置を構想、図案化し、その主要部(熱量計)の設計、製作を依頼することにより、その開発を進めた。納入された熱量計は13ー500Kの温度域で使用可能であり、高圧管の導入も可能とする。高温側500Kまでの測定を可能とするために、熱測定用リ-ド、ヒ-タ-等にはテフロン被覆した線を用いている。圧力の伝達および制御は熱量計主要部外であり、現在、圧力差検出装置、圧力媒体溜およびそれらの温度制御回路等の自作を進めている。真空排気系はパイレックスで製作することにより、圧力系に漏れが発生した場合に予想される圧力媒体流入の監視およびその後の排気系清浄化の確認を容易にした。平成3年度早期には装置を完成し、シクロヘキサンおよびチオシクロヘキサンの測定に進む予定である。 2.秩序結晶の温度を上昇すると、分子の位置および配向は次第に無秩序化する。配向無秩序相の出現は分子の位置および配向の無秩序化過程が分離して進行することを意味する。クロロシクロヘキサンは配向無秩序相を示し、ブロモシクロヘキサンはその相を示さず結晶相から直接液相に移る。しかし、両者は完全固溶体を形成し、ある組成で三重点を与えることが予想される。この組成域で詳細な熱測定を行うことにより、分子の位置および配向自由度の間のカップリングの詳細、従って結晶、配向無秩序結晶および液体における分子運動の動的側面を解明することが可能であり、現在、その測定の準備も進めている。
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