1991 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ金属ー水素ーグラファイト層間化合物中の特異な二次元金属水素
Project/Area Number |
02453009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 理学部, 教授 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和也 東京工業大学, 理学部, 助手 (80206466)
宮島 清一 日本大学, 理学部, 専任講師 (30157648)
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Keywords | グラファイト層間化合物 / 金属水素 / ホ-ル効果 / 熱起電力 |
Research Abstract |
本年度は、カリウムー水素ーグラファイト系の高圧電導度の温度依存性の測定及びナトリウムー水素ーグラファイトの熱起電力、電導度の解析を行った。カリウムー水素ーグラファイト系においては、面間比抵抗ρ_cの圧力依存性d1nρ_C/dPはステ-ジ1、2化合物についてそれぞれ-17x10^<-3>、-27x10^<-3>kbar^<-1>とグラファイトのもの(-6.6x10^<-3>)に比べて大きい。残留抵抗比RRR_Cは圧力の増加に伴って減少するが、その圧力依存性dlnRRR_C/dP(ステ-ジ1:16x10^<-3>、ステ-ジ2:11x10^<-3>kbar^<-1>)はdlnρ_C/dPにΡ比べると小さい。このことはキャリアの面間電導の緩和機構に比べて、電子構造が圧力によって大きな影響を受けないことを示唆する。面間比抵抗の温度依存性をρ_C=A+BTとして解析した結果、フォノン散乱による緩和機構の寄与を反映するBの圧力依存性はdlnB/dP=-1.8x10^<-2>kbar^<-1>(ステ-ジ1)、-3.1x10^<-2>kbar^<-1>(ステ-ジ2)となった。ナトリウムー水素ーグラファイト系の熱起電力はπ電子系のフォノンドラッグ機構により説明されることが明らかとなった。熱起電力の絶対値はステ-ジ数の増加に伴って減少する傾向を持ち、この傾向は通常のグラファイト層間化合物の熱起電力と逆の傾向である。この特異な熱起電力を理論的に解析した。この系においてはインタ-カレ-トがイオン的な格子Na^+H^-を形成し、グラファイト層への電荷移動が少なく、きわめて小さなπ電子フェルミ面を形成されている。この様な状態ではフォノン散乱においては、イオン的不純物による散乱が有効に働かず、ドメイン境界での散乱が支配的になる結果、特異な熱起電力のステ-ジ依存性を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Enoki: "TwoーDimensional Metallic Hydrogen Lattice in PotassiumーHydrogenーGraphite Ternary Systems." J.Less Common Metals. 172. 20-28 (1991)
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[Publications] T.Enoki: "Electronic Properties of the Novel TwoーDimensional Metallic Hydrogen in KHーGIC_s" Synty.Metals. (1992)
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[Publications] K.Sugihara: "Transport Properties of HydrogenーPatassiumーGraphite Intercalation Compounds" Synth.Metals. (1992)
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[Publications] T.Enoki: "Electronic Properties of SodiumーHydride and PotassiumーMercury Ternary Graphite Intercalation Compounds" Mol.Gryst.Lig.Cryst. (1992)