1990 Fiscal Year Annual Research Report
溶液中における化学結合の切断・組換えのダイナミックス
Project/Area Number |
02453013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 正 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029442)
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Keywords | アントラセンヘテロダイマ- / 光シクロ附加 / 環開裂 |
Research Abstract |
アントラセンとベンゼン誘導体のヘテロダイマ-(1__〜、2__〜)および9ーシアノアントラセンとシクロヘキサジェンの光附加体(3__〜)の光環開裂と光環化附加反応過程のダイナミックスを時間分解レ-ザ-分光法で直接測定した。また、1__〜〜3__〜については光解離量子収率を測定した。 1__〜の光解離収率はほぼ1で環開裂反応速度は数ピコ秒と極めて速い。1__〜の場合は2__〜、3__〜と異なり、反応中間体は実測されなかった。 2__〜の場合は、2__〜の蛍光寿命(約10ピコ秒)と解離生成物であるアントラセン励起一重項の生成時間(約30ピコ秒)は一致せず、反応中間体のビラジカル状態に対応すると考えられる吸収帯が観測された。2__〜の解離収率は50〜60%で副生成物として9ー(4ークロロフェニル)アントラセンが定常光照射により回収されている。従って、2__〜の光環開裂反応は2段階過程で反応しており、中間体のビラジカル状態の寿命は20〜30ピコ秒あり、この寿命中に結合の切断と構造変化による副生成物への反応過程が競合していることが解った。 3__〜の場合は、3__〜の蛍光寿命とシアノアントラセン励起状態の生成時間(共に25〜30ピコ秒)が一致していることから、中間体の寿命は短いと考えられる。3__〜の解離収率に溶媒の極性依存性が観測された。3__〜の場合、生成物のジェミネ-ト再結合により基底状態の3__〜を与えることが既に知られており、この再結合過程に電荷移動相互作用が関与しているため、解離収率に溶媒極性効果が観測されたと解釈される。実際、再結合速度はヘキサン中で120ps、アセトニトリル中で25psであった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Kinoshita: "Solvent Relaxation Effect on Transient HoleーBurning Spectra of Organic Dyes" Chem.Phys.Lett.166. 123-127 (1990)
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[Publications] N.Mataga: "FemtosecondーPicosecond Laser Photolysis Studies on the Photoinduced Charge Separation and Charge Recombination of Produced Ion Pair State of Some Typical Intramolecular Exciplex Compounds in Alkanenitrile Solvents" J.Phys.Chem.94. 1443-1447 (1990)
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[Publications] T.Morishima: "Photoinduced Charge Separation by Hydrophobic Chromophores Compartmentalized in Amphiphilic Polyelectrolytes" J.Phys.Chem.in press.
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[Publications] T.Okada: "Dynamics of Intramolecular Electron Transfer in Polar Solvents" Ultrafast Phenomena VII. 397-401 (1990)