1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02453024
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小国 信樹 山口大学, 理学部, 教授 (60028165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 昌彦 山口大学, 理学部, 助手 (60192704)
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Keywords | 不斉増幅現象 / 不斉反応 / 不斉アルキル化 / 均一触媒反応 / ジアルキル亜鉛 / アルデヒド / βーアミノアルコ-ル |
Research Abstract |
題目の『不斉増幅現象』とは,不斉触媒において低い光学純度の触媒を用いても大変高い光学純度の生成物を与える反応を示し,著者らによって発見され命名されたものである。この現象はキラルなβーアミノアルコ-ルを触媒とするジアルキル亜鉛のアルデヒドへの不斉付加反応において発見した。特に水酸基の結合した炭素に嵩い置換基を有するβーアミノアルコ-ルを使用した時に不斉増幅は顕著に現れた。例えば,光学純度3%のNーピペリジノー3,3ージメチルー1ーブタノ-ルを触媒に用いるEー桂皮アルデヒドのジエチル亜鉛によるエチル化反応においては,光学純度90%の生成物が定量的に得られた。この様な現象は,同じ触媒を用いる他のアルデヒド,例えばアクロレイン,メタクロレイン,フルフラ-ルなどの不斉アルキル化による反応でも認められ,高い光学純度の光学活性アリルアルコ-ル類が得られた。この反応の機構を探るために,この不斉反応の真の触媒であるβーアミノアルコ-ルとジアルキル亜鉛のモル比1:1の反応生成物の構造を超電導NMRスペクトルを用いて研究を行った。その結果,異った光学対称体の間の配位2量体が,同じ光学対称体同士の配位2量体よりエネルギ-的に大変安定であり,優先的に生成することが分った。このことは,光学的に中性となる安定な配位2量体が触媒的に不活性ならば,光学活性2量体のみが解離して触媒として働き,不斉増幅が現れたと考えられる。この事実は反応速度論的実験によっても支持された。 一方,酒石酵エステルを配位子として有するチタンアルコキシド触媒によるアルデヒドの不斉シアノシリル化反応においても不斉増幅現象が起ることを発見した。このチタン触媒による不斉増幅の機構も配位2量体の触媒活性の差により現わるものと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小国 信樹: "不斉増幅現象の発見" 化学. 45. 182-187 (1990)
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[Publications] M.Hayashi: "Kinetic resolution of racemic βーhydroxy amines by enantioselective Nーoxide formation." Chemistry Letters. 547-548 (1990)
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[Publications] R.Noyori: "Enantioselective addition of diorganozincs to aldehydes catalyzed by βーamino alcohols." Journal of Organometallic Chemistry. 382. 19-37 (1990)
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[Publications] M.Hayashi: "Deacyloxyーalkylation of 2ーacyloxyーtetrahydrofurans andーtetrahydroーpyrans by Reformatsky reagents." Jounal of Chemical Society,Chemical Communications. 767-768 (1990)
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[Publications] M.Hayashi: "Enantioselective trimethylsllylcyanation of some aldehydes promoted by modified Sharpless catalyst." Journal of Chemical Society,Chemical Communications. 1364-1365 (1990)
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[Publications] M.Hayashi: "An efficient preparation of optically active allylic alcohols,2ーfuryl alcohols,and 2ーthienyl alcohols by catalytic alkylation." Journal of Chemical Society,Perkin Trans I.25-28 (1991)