1991 Fiscal Year Annual Research Report
パルスEPRおよびパルスENDORによる遷移金属錯体の光化学反応の動力学的研究
Project/Area Number |
02453036
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩泉 正基 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (70006295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 裕範 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (10176985)
山内 清語 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (10127152)
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Keywords | パルスEPR / 時間分解EPR / 時間分解ENDOR |
Research Abstract |
本研究では、時間分解EPR法を用いて常磁性遷移金属錯体の光化学反応を研究してきた。なかでも、時間分解法の新しい手法として注目されるパルスEPR法とパルスENDOR法を利用することに力を注いできた。これは、パルス法が従来のCW時間分解法に較べ時間分解能が優れている点と、情報の多元化を得ることに大きな期待が持たれるからである。このため我々が自作したパルスEPR分光器とパルスENDOR分光器の整備・改良を進めながら以下の研究を行なつてきた。 1)ポルフィリンとキノンとの間の光誘起電子移動反応:反応過程のポルフィリンカチオン、キノンアニオンと両者のイオン対の同時測定に成功し、反応機構に極めて興味ある知見をえた。 2)ポルフィリンとその多量体の光励起三重項状態:ポルフィリン二量体の光化学反応は、植物光合成過程に関連し極めて興味ある系であるが、本研究では、光化学反応の初期過程である光励起状態におけるポルフィリン環相互作用等について興味ある知見をえた。 3)ポルフィリン光励起状態での光誘起軸配位反応:ポルフィリンの光誘起電子移動反応を支配する重要な一因子である軸配位の問題に関する研究で、基底状態における軸配位反応との違い等について興味ある知見をえた。 4)プラストシアニン等銅蛋白の電子移動過程での動的構造:電子移動を触媒する銅蛋白の反応機構に関する研究で、従来の静的構造の研究に対して、反応過程での動的構造変化に着目して研究を進めており成果を挙げつつある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yasunori Ohba: "ESEEM and ENDOR Studies of Triplet State Copper(II)Complex Dimer." Electron Magnetic Resonance of Disordered Systems. 175-191 (1991)
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[Publications] Shouichi Kita: "Proton ENDOR Studies on ZincーDoped Copper(II)Acetate Monohydrate Single Crystal" Bull.Chem.Soc.Jpn.64. 3324-3328 (1991)
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[Publications] Minoru Hanaya: "EPR Studies of the Paramagnetic Complexes Formed in the Photochemical Reactions of Mo(CO)_6 with oーSemiquinones" J.Org.Chem.401. 31-35 (1991)
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[Publications] Minoru Hanaya: "EPR Studies of Photochemical Reactions of MeCpMo(CO)_<32> with Quinones." J.Org.Chem.417. 407-420 (1991)
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[Publications] Seigo Yamauchi: "CIDEP Studies on the Photoinduced Electron Transfer Reactions from Metalloporphyrins to Quinone" ^‥Spin Chemistry^‥published by the Oji International Conference on Spin Chemistry. 112-116 (1991)