1991 Fiscal Year Annual Research Report
顕著な協同効果をもたらす常磁性金属複核錯体のデザイン・合成と多核NMRによる研究
Project/Area Number |
02453040
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
海崎 純男 大阪大学, 理学部, 教授 (20089874)
|
Keywords | クロム(III)複核錯体 / スピン禁制dーd遷移 / 円二色性 / 磁気円二色性 / 多核NMR / 磁化率 / 交換相互作用 / 協同効果 |
Research Abstract |
1.新錯体の合成: (1)[Cr_2(X)_2(acac)_2]型で4ー置換フェノキソ、シュウ酸イオン、フッ化物イオン、4,5ーイミダゾ-ルジカルボキシラト、3,5ーピラジンジカルボキシラトおよびピラゾ-ルとヒドロキソが架橋した新錯体を合成した。 (2)異なったchromophoreをもつ異核二核錯体[(NーN)_2Cr(OH)XCr(nta)]^+((NーN)=(NH_3)_2,ethylenediamine,R,Rーcyclohexanediamine;nta=nitrilotriacetato;X=OH^-,RCOO^-(R=CH_2CI,H,C_6H_5,CH_3))の合成法を確立した。 (3)ヒドロキソ二核錯体[Cr_2(OH)_2((R,R)ーchxn)_4]^<4+>およびヒドロキソアクア架橋二核錯体[Cr_2(OH)_2(H_2O)_<2->(R,R)ーchxn)_4]^<4+>、[Cr_2(OH)(H_2O)(edtrp)_2]と[Cr_2(OH)(H_2O)((S)ーpdtrp)_2]の合成に成功した。 2.X線構造解析:H[Cr_2(Lーtart_2H)(bpy]3H_2O,[(nta)Cr(OH)_2Cr(phen)_2]・7H_2O,[(NーN)_2Cr(OH)_2M(nta)]Cl・1.5H_2O(M=Cr,Co)の同型結晶を構造解析し、それらの構造を比較検討した。 3.NMRスペクトル:[(NーN)_2Cr(OH)_2M(nta)]^+(M=Cr(III),Co(III)):((NーN)=(NH_3)_2,ethylenediamine,R,Rーcyclohexanediamine,2,2'ーbipyridine;nta=nitrilotriacetato)の ^1Hー, ^2HーNMRが観測され、[CrーCr],[CrーCo]二核錯体について比較して、常磁性クロム(III)イオンの影響を検討した。また[(NーN)_2Cr(OH)(CD_3COO)Cr(nta)]^+の架橋配位子の ^2HNRMを測定し、二核錯体の影響を検討した。 4.磁化率:前年度では完成に至らなかった自動磁化率測定装置を完成させて、アセチルアセトナトクロム(III)二核錯体やジヒドロキソ錯体などの磁化率の温度変化を測定し、それらの磁気交換相互作用定数Jを求めることができた。得られた結果を架橋配位子の電子状態などと比較検討している。
|
Research Products
(1 results)