1991 Fiscal Year Annual Research Report
極低炭素濃度域における溶鉄、溶融鉄ークロム合金の脱炭反応の速度論的研究
Project/Area Number |
02453057
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐野 正道 名古屋大学, 工学部, 教授 (70023174)
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Keywords | 溶鉄 / 溶融鉄ークロム合金 / 極低炭素鋼 / 脱炭 / 固体酸化物 / 真空脱ガス / 多孔質材料 / ガス透過性 |
Research Abstract |
1.固体酸化物による溶鉄、溶融鉄ークロム合金の脱炭反応を促進するため、真空吸引脱ガス法を適用して極低炭素濃度域における脱炭実験を行った。真空吸引脱ガス法は、内部を減圧にした多孔質管(酸化物)を浴中に浸漬し、酸化物ーメタル界面で生成したCOガスを迅速に吸引除去し、脱炭反応を促進させる方法である。多孔質管の酸化物としては、Al_2O_3、SiO_2、MnO、Fe_2O_3、Cr_2O_3などを用い、実験においては、多孔質管の酸化物組成および気孔率を種々変化させた。 2.溶鉄の脱炭においては、主としてAl_2O_3管、Al_2O_3ー(15〜30%)SiO_2管(気孔率20〜30%)を使用し、管内部を約5mmHg以下まで減圧して実験を行った。Al_2O_3管に比較すると、Al_2O_3ーSiO_2管の場合の脱炭速度は非常に速く、溶鉄中の炭素濃度は10ppm以下(最低濃度3ppm)まで迅速に低下し、炭素濃度の経時変化は10ppm程度まで1次速度式によりよく整理できた。なお、実験中溶鉄中の酸素濃度はほぼ50ppm以下の低濃度に保たれていた。また、Al_2O_3ーSiO_2管の場合、SiO_2がムライト(3Al_2O_3・2SiO_2)として存在するよりクリストバライト(SiO_2)として存在する方がSiO_2の活量が大きく、脱炭速度がはやいことがわかった。以上より、溶鉄の脱炭速度は、多孔質管を構成する酸化物の解離酸素圧が高く、ガス透過性がよいほど増加することを明らかにし、さらに真空吸引脱ガス法により極低炭素、低酸素濃度域における溶鉄の脱炭を迅速に行えることを示した。 3.極低炭素濃度域の溶融鉄ークロム合金の脱炭実験に対して真空吸引脱ガス法を適用した。多孔質管の酸化物には、Al_2O_3、Al_2O_3ー(15〜30%)Cr_2O_3を用い、脱炭速度を比較した。Al_2O_3Cr_2O_3管の場合、メタル中にCrが存在するため、Cr_2O_3の解離反応が抑制され、脱炭速度が減少する傾向があったが、真空吸引脱ガス法により、クロムを全く酸化させずに溶融鉄ークロム合金の脱炭を低炭素濃度まで行えることを示した。
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Research Products
(1 results)