1990 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドロタルサイト型層状金属水酸化物のホスト・ゲスト化学と触媒作用
Project/Area Number |
02453075
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 嘉夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 榮一 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90183417)
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Keywords | ハルドロタルサイト / ハロゲン交換反応 |
Research Abstract |
合成ハイドロタルサイトMg_6Al_2(OH)_<16>Cl_2・4H_2Oの層間Cl^ーイオンの反応性を調べた。すなわち,層間Cl^ーイオンと各種の臭化アルキルのBr^ーイオンとのハロゲン交換反応を行なった。例えば,トルエン溶媒中80℃で,層間Cl^ーイオンは臭化ベンジルのBr^ーイオンとハロゲン交換し,層間にBr^ーイオンが導入されるとともに塩化ベンジルが生成する。反応時間30分のうちに層間Cl^ーイオンの92%が反応する。このように,無極性溶媒中で層間Cl^ーイオンが反応性を示すことが判明した。臭化アルキルのアルキル基の種類は,反応速度に大きな影響を及ぼし,速度はC_6H_5CH_2>nーC_3H_7【similar or equal】nーC_4H_9>isoーC_3H_7>isoーC_4H_9,C_2H_5>nーC_3H_7>nーC_4H_9の順に小さくなった。これより,層間Cl^ーイオンと臭化アルキルとの反応は,SN_2反応であることがわかった。 溶媒の種類は反応速度に大きな影響を及ぼした。すなわち,極性の高いDMSO,DMF中では,トルエン中の場合と比較して,速度は著しく高い(層間Cl^ーイオンと臭化ブチルとの反応,80℃)。ところが,極性溶媒であるアセトニトリル,ジエチルケトン,アセトン中では,反応はほとんど進行しない。 合成ハイドロタルサイトの層間に錯イオンを導入すると,錯イオンの配位子は臭化アルキルのBr^ーイオンとハロゲン交換することが判明した。すなわち,Mg_6Al_2(OH)_<16>(NO_3)_2・4H_2Oの層間NO_3^ーイオンを[NiCl_4]^<2ー>イオンに置換したものをトルエン溶媒中で臭化ブチルと接触させるとCl^ー配位子の約半分が反応し塩化ブチルが生成した。
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