1991 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドロタルサイト型層状金属水酸化物のホスト・ゲスト化学と触媒作用
Project/Area Number |
02453075
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 嘉夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 榮一 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90183417)
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Keywords | ハイドロタルサイト / 陰イオン交換 / ハロゲン交換反応 |
Research Abstract |
ハイドロタルサイト型層状金属水酸化物の一つであるMg_2Al(OH)_6(NO_3)・nH_2Oの層間陰イオンNO_3^-をV_4O_<12>^<4->陰イオンでイオン交換したもの(I)について熱分解過程を調べた。熱重量分析によると,180℃までに層間水の脱離がおこり,250-500℃には層を構成する水酸基間の脱水が観察された。(I)の粉末X線回折測定より,層間距離は5.4Aであった。(I)を種々の温度に保ったものをX線回折測定したところ,350℃までは層状構造を保っていたが,400ー500℃では無定形となることがわかった。そして500ー600℃の加熱によって,αーMg_2V_<2 >O_7が生成する。層間におけるバナジウム種は,(I)の赤外線吸収スペクトル測定により,V_4O_<12>^<4->であることがわかった。200℃以上に加熱するとV_4O_<12>^<4->は鎖状構造の(VO_3)_n^<n->に変化する。 さて,層間陰イオンとしてNiCl_4^<2->陰イオンをもつもの(II)の合成を試みた。そして層間NiCl_4^<2->陰イオンのClの反応性を調べた。すなわち,トルエン溝媒中に(II)と臭化ブチルとを入れ80℃に保ったところ,NiCl_4^<2->と臭化ブチルとのハロゲン交換反応が進行し,塩化ブチルが生成した。塩化ブチルの生成量からNiCl_4^<2->の全Clの約85%が反応することがわかった。(II)の電子スペクトル測定によって,NiCl_4^<2->は正四面体構造をとっていること,ならびに臭化ブチルとのハロゲン交換後にはBrはNiBr_4^<2->の形で層間に入っていることが明らかになった。 以上のように,イソポリ酸陰イオンや金属ハロゲン化物陰イオンを層間にもつ層状金属水酸化物の合成ならびに層間陰イオンの性質についての知見が得られた。
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Research Products
(1 results)