1991 Fiscal Year Annual Research Report
新規コバルト錯体による酸素の活性化制御と酸素酸化反応への応用
Project/Area Number |
02453083
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 振作 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30013163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八代 盛夫 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (30192785)
荒木 孝二 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (40134639)
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Keywords | 酸素酸化触媒 / 酸素活性化能 / コバルト錯体 / ビピリジン / ピリジン |
Research Abstract |
6,6'ービス(置換ベンゾイルアミノ)ー2,2'ービピリジンを配位子とするCo(II)錯体を合成し、置換基の酸素の活性化および酸素酸化反応に対する効果を検討した。 N_2O_2型平面正方錯体[Co(babp)](babp=6,6'ービス(ベンゾイルアミノ)ー2,2'ービピリジン)は[Co(salen)](salen=N,N'ービス(サリチリデン)エチレンジアミン)と類似の構造を持ち、2,6ージーtーブチルフェノ-ル(DTBP)から対応するキノン(DTBQ)への酸素酸化の優れた触媒となることをすでに明らかにしている。そこで、ベンゾイル基上のパラ位に各種置換基(R)をもつ誘導体(R=H(1a)、CH3(1b)、Cl(1c)、tーBu(1d))について、酸素活性化能と酸化触媒能との関連について検討した。 1.窒素雰囲気下ピリジン中でのCo(II)/Co(III)の酸化還元電位(-0.06〜-0.13V vs SCE)は、錯体間で大きな差異を示さなかった。また空気下-71℃のESRより求めたO_2^-型酸素付加体のCo核との超微細結合定数(10.9〜11.1G)もほぼ同じ値を示した。しかし、ESRシグナルの相対強度は大きく異なり(1b>1a>1c)、生成するO_2^-生成量が錯体間で異なることを示している。 2.ピリジン中で酸素を吹き込みながら各錯体(2.5X10^<-3> mol dm^<-3>)によるDTBP(0.5mol dm^<-3>)の酸素酸化を行った。いずれの錯体も、20および40℃で24時間以内に反応が完了し、副生成物であるジフェニルキノン誘導体(DPQ)の生成も1.4mol%以下という選択性・活性ともに優れた触媒能を示した。各錯体間では反応速度が1cで少し遅くなるものの、反応完了時の生成物に大きな差は認められなかった。しかし60℃では反応が完了せず、錯体が失活していることを示している。DTBP生成量は1b>1a>1cの順で、ESRでの酸素付加体生成量の多い順と一致した。
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[Publications] K. Araki,T. Kuboki,M. Yamada,and S. Shiraishi: "Preferential Formation of Amino Acid esters in Aqueous Solutions:Amide Solvolysis of 6,6'ーDi(αーaminoacylamino)ー2,2'ーbipyridine by MetalーCoordination"
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[Publications] K. Araki.T. Kuboki,M. Yamada,and S. Shiraishi: "A New Salen Analogue,[Co(babp)],as an Oxygenation Catalyst:Effect of Substituent Groups on the Ligand Moiety"