1991 Fiscal Year Annual Research Report
マクロリド抗生物質の成合成過程の生物有機化学的研究と有用類縁体合成への応用
Project/Area Number |
02453088
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竜田 邦明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40051627)
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Keywords | マクロリド抗生物質 / オレアンドマイシン / アグリコン / 生合成 / 変異菌 / 抗生物質 |
Research Abstract |
本研究はオレアンドマイシン(1)を対象物質として選び,従来の生合成中間体を培養液中に見いだす方法とは異なり,まず,生合成中間体と予想される種々のアグリコン部分を合成した後,微生物(変異菌)により目的の天然マクロリド抗生物質1に変換できるか否かを調べることにより生合成過程を生物有機化学的に明らかにしていくことを第一の目的とし,昨年度,変異菌の育成と同時にその目的を達成した。今年度は,非天然型のアグリコン部分を合成した後,変異菌により変換し非天然型マクロリド抗生物質を得ることを目的とした。すなわち,1を原料として,本研究者らの方法により5行程で(9R)ー9ージヒドロー8ーメチレンオレアンドライドライド(2)を合成し,また8ーヒドロキシー8ーヨ-ドメチルオレアンドライド(3)を合成した。この3はトリエチルアミンの作用により,オレアンドライド(4)に導かれた。これらのアグリコン2,3および4を原料にハロゲンやアミノ基の導入が試みられた。2より7行程を経て8ーフルオロメチルオレアンドライド(5)を合成し,3より7行程を経て,9ーアミノオレアンドライド(6)を合成した。また別に,3より9ーアミノー8ーヒドロキンー8ーメチルオレアンドライド(7)を合成した。9ーブロモオレアンドライド(8)も同様に合成された。これらの合成アグリコン3,5,6,7および8を,1の生産菌の変異菌(アグリコンまでの生産能力が欠損している菌)と培養し,菌に取り込まれ,1の新規類縁体を生産するか否かを検討した。アグリコン3はオレアンドマイシン(1)そのものを与えたが,5〜8は効率よく取り込まれず抗生物質を与えなかった。さらに基質特異性の低い変異菌の育成が今後の課題となる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kuniaki TATSUTA: "The Total Synthesis of Oleandomycin." Tetrahedron Letters. 31. 709-712 (1990)
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[Publications] Kuniaki TATSUTA: "Biosynthetic Studies on Oleandomycin by Incorporation of the Chemically Synthesized Aglycones." Journal of Antibiotics. 43. 909-911 (1990)
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[Publications] Kazunobu TOSHIMA: "Application of Efficient Glycosylation of 2,6ーAnhydroー2ーthio Sugar to the Total Synthesis of Erythromycin A." Tetrahedron Letters. 32. 6155-6158 (1991)
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[Publications] Kuniaki TATSUTA: "Recent Progress in the Chemical Synthesis of Antibiotics." Gabor LUKACS and Masaji OHNO, 803 (1990)