1990 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族化合物の酸化による芳香族アルデヒド・カルボン酸の合成
Project/Area Number |
02453090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二木 鋭雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20011033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二タ村 森 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (60165446)
山本 順寛 東京大学, 工学部反応化学科, 講師 (60134475)
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Keywords | 酸素酸化 / 自動酸化 / 芳香族化合物 / 芳香族アルデヒド / 芳香族カルボン酸 / エンドペルオキシド |
Research Abstract |
本研究は多環芳香族化合物の酸化により有用な化学原料である芳香族アルデヒド,カルボン酸などの含酸素化合物を合成する反応について検討することを目的としている。現在、ナフタレン誘導体の酸素酸化,光ブロモ化を経由した芳香族アルデヒドの合成などについて検討している。ここでは後者について経過をまとめる。 芳香族ビス(ブロモメチル)化合物は,対応する(ヒドロキシルメチル)体やジアルデヒドといった機能性化合物の前駆体としてのみならず,導電性有機化合物の合成原料としても近年注目を集めている。今回Nーブロモコハク酸イミド(NBS)による芳香族側鎖メチル基の光ブロモ化を試みたところ,ベンゼン中における可視光照射が上記化合物の合成と精製に極めて有効であることが明らかになった。可視光照射による2,6ージメチルナフタレン(2,6ーDMN)の側鎖光ブロモ化を2時間行い,2,6ーDMN転化率並びに生成物分布に及ぼす溶媒効果につき検討した。デリカン中では2,6ーDMN転化率が18%に過ぎず,反応はNBSの溶解律速になるものと考えられる。アセトニトリル中では2,6ーDMNが完全に消失したが,側鎖臭素化物と核臭素化物がそれぞれ88,12%の収率で得られた。これに対して四塩化炭素,アセトン,ベンゼン中での反応はきれいで,生成物としてビス(ブロモチル)体(2,6ーBBMN)のみが定量的に得られた。特にベンゼン溶媒の場合には2,6ーBBMNとNBS由来コハク酸イミドが容易に分離できた。2,6ーDMNと同様の反応条件下で2,3ー, 1,4ー, 1,8ージメチルナフタレン,4,4'ージメチルビフェニル,Pーキシレンからも対応するビス(ブロモメチル)化合物がほぼ定量的に得られ,ジブロモメチル体や核臭素化物の混入は認められなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] X.ーY.Wei,E.Ogata,S.Futamura,Y.Kamiya: "Thermal Decomposition and Hydrocracking of Hydrogenated Di(1ーnaphthyl)Methanes." Fuel Process.Technol.
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[Publications] N.Gotoh,E.Niki: "Rate of SpinーTrapping of Superoxide as Studied by Chemiluminescence" Chem.Lett.1475-1478 (1990)
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[Publications] 二木 鋭雄(分担執筆): "活性酸素種の化学" 学会出版センタ-, 264 (1990)