1991 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属によるアルカンCーH結合の熱的活性化を経る合成反応
Project/Area Number |
02453093
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤原 祐三 広島大学, 工学部, 教授 (10029481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 謙 広島大学, 工学部, 助手 (80116615)
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Keywords | アルカンCーH結合活性化 / パラジウム触媒 / 脂肪酸 / 一酸化炭素 / メタンの活性化 / メタンから酢酸合成 / 銅塩 / モンサント酢酸プロセス |
Research Abstract |
本研究はアルカンのCーH結合を遷移金属で活性化して,これにCOを反応させることにより脂肪族カルボン酸を直接合成する反応の開発を目的として前年度より検討を進めており,本年度は1)シクロヘキサンとCOの反応に硫酸銅などの銅塩を添加することによりタ-ンオ-バ-数(触媒の)を100から200に向上させることに成功した。また,2)本反応をメタンに適用することにより酢酸を直接合成する新しい反応の開発に成功した。 1.シクロヘキサンとCOよりシクロヘキサンカルボン酸の合成 Pd(OAc)_2/K_2S_2O_8/CF_3COOH系を用いることによりシクロヘキサンとCOよりシクロヘキサンカルボン酸が得られることは既に報告した。また,基質をメチルシクロヘキサン,ジメチルシクロヘキサン,アダマンタンなどに変えても同様な反応が進行することも報告した。本研究ではシクロヘキサンの反応における添加剤を検討することにより,硫酸銅を共存させるとカルボン酸の収率が10,000%から20,000%(タ-ンオ-バ-数200)に飛躍的に向上することが明らかになった。また,重水素化シクロヘキサンを用いた同位体実験によりkH/kD=3が得られ,本反応の律連段階はアルカンCーH結合のパラジウムによる切断反応であることが明らかになった。これらの結果を総合すると本反応はPd(II)の親電子攻撃を経て進行すると考えられる。 2.メタンとCOより酢酸の一段階合成 現在,酢酸は主にモンサント法によりメタノ-ルとCOより工業的に合成されている。もしメタノ-ルの代りに天然に豊富に存在するメタンを原料に出来れば,省資源の点あるいは未利用資源の有効利用の点からもその意義は大きい。我々は(1)の反応をメタンに適用することにより直接酢酸を合成することに成功した。触媒はPdでもCuでもよく,CO圧は40気圧,反応温度は80℃でオ-トクレ-ブを用いる。収率は3,000%(Cu基準)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Koichi Satoh: "PdーCatalyzed Regioーand Stereoーselective Carboxylation of Cycloalkanes with CO" Chem.Lett.1433-1436 (1991)
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[Publications] Kazuyuki Nakata: "Palladium Catalyzed Carboxylation of Cyclohexane with Carbon Monoxide" Chem.Lett.1437-1438 (1991)
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[Publications] 高木 謙: "アルカンのCーH結合活性化(総説)" 化学. 46. 80-81 (1991)
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[Publications] Ken Takaki: "Palladium(II)ーCatalyzed Carboxylation of Alkanes with CO via CーH Bond Activation" J.Am.Chem.Soc.