1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02453109
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
国武 豊喜 九州大学, 工学部, 教授 (40037734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 玲子 九州大学, 工学部, 教務員
石川 雄一 九州大学, 工学部, 助教授 (30184500)
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Keywords | 二分子膜 / 両親媒性化合物 / 界面単分子膜 / フルオロカ-ボン / 分子集合体 / 界面張力 |
Research Abstract |
前年度までの研究より、2本のフルオロカ-ボン鎖を疎媒部、柔軟なアルキル長鎖を親媒部とする両親媒性化合物がシクロヘキサンやベンゼンのような有機溶媒中で二分子膜型の集合構造を形成することを明らかにした。本年度は、会合特性の本質を解明するために、赤外吸収スペクトルや界面張力測定を行った。二分子膜形成能をもつ化合物はいずれもアミド基をコネクタ-部位に有している。膜形成が認められないクロロホルム中に比べ、膜形成するクロロシクロヘキサン中では赤外スペクトルのアミド吸収位置が短波長シフトし、このシフトはDSCによる転移温度(40℃)以上では失われた。またフルオロアルキル鎖のコンホメ-ションは、15℃ではヘリックス,40℃ではジグザグ構造に近くなる。さらに界面張力測定においては、クロロシクロヘキサン・空気界面で単分子膜の形成が見られた。その分子断面積は通常のフルオロカ-ボン鎖に一致し、界面で規則的な凝縮相が生じていることを示す。界面吸着にともなう熱力学量の変化は、DSC測定により求めた媒体中での相変化における吸熱量と一致する。このことから、観察された二分子膜の相変化が、水媒体中のゲルー液晶転移とは異なり、膜・モノマ-転移であることがわかった。以上のデ-タから、より組織化された二分子膜の設計指針が明らかとなった。すなわち、フルオロカ-ボン鎖の伸長,分子間水素結合や双極子相互作用の有効利用、親媒性の良い柔軟鎖の導入などである。親媒部のアルキル鎖数を増やすことは有効でなかった。
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[Publications] 桑原 広明: "有機溶媒中での炭化弗素鎖型二分子膜形成ー会合特性の検討ー" 第43回コロイド及び界面化学討論会講演要旨集. 330-331 (1991)
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[Publications] 石川 雄一: "非水媒体中におけるフッ化炭素二分子膜形成の熱力学" 第44回コロイド及び界面化学討論会講演要旨集. 52-53 (1991)
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[Publications] 石川 雄一: "疎水性相互作用を用いない二分子膜の形成" 高分子. 40. 811 (1991)