1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02453112
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 誠 京都大学, 原子エネルギー研究所, 教授 (90027128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 正弘 京都大学原子エネルギー研究所, 助教授 (90195339)
足立 基斉 京都大学原子エネルギー研究所, 助手 (50027140)
塩井 章久 京都大学原子エネルギー研究所, 助手 (00154162)
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Keywords | マイクロエマルジョン / 相図 / 界面活性剤 / 溶媒効果 / 電解質効果 / タンパク質抽出 / 界面反応 / 分子集合体設計 |
Research Abstract |
1.分子集合体設計:ヂー2エチルヘキシルスルフォコハク酸ナトリウム(AOT)、ヂー2エチルヘキシルリン酸ナトリウム(SDEHP)の界面活性剤系、およびブタノ-ルを助界面活性剤として含む系で生成するW/Oーマイクロエマルジョン(ME)系を対象とし、ME滴のサイズと形態及び相図に及ぼす電解質効果、有機溶媒の効果を系統的に調べた。形態が球状に近いAOT系MEでは中間相を形成する電解質濃度領域が狭いが、円筒状のME組織が得られるSDEHP系ではその領域がきわめて広い。SDEHP系におけるこの特性は、ME組織が円筒状になっていることに起因することを明かとし、また、有機ME相と中間相の平衡相図の臨界点近傍の挙動から電解質濃度は丁度温度に対応することを示した。ベンゼン、トルエン、4塩化炭素、シクロヘキサン、n・ヘプタン、i・オクタン、デカンと溶媒を変えてゆくと、AOT系ではME滴の自然の半径が増大し、また、SDEHP系ではこの順序で円筒の長さが増大する。この溶媒効果は、水/溶媒2成分系における界面張力によって系統的にまとめられ、これを組み込んだ分子集合体組織形成のクル-ドモデルを作成した。さらに、本研究費で設置された光散乱光度計による第2ビリアル係数の実測値と併せて、ME組織間の相互作用と組織形態、相図の関係について現在検討中である。2.W/OーMEを用いた物質分離:種々のアミノ酸、シトクロムC(cyt)の水溶液とAOTーn・ヘプタンからなるW/OーMEとの間の抽出分平衡などの結果から、これらのME組織への取り込みの様式について検討した。また、アミノ酸可溶化に対する静電相互作用の効果を実験的に決定した。さらに、cytの抽出では、AOTのcytへの吸着が基本的に重要であり、従来考えられてきたものと全く異なる機構でcytが抽出されることを示した。3.W/OーMEを用いた超微粒子生成:AOTからなるME滴内に存在する銅イオンとn・ヘプタンに溶解しているベンゾイルアセトンとの間の錯形成反応の速度を測定し、超微粒子作成の基本となる微細な組織内外における反応の特性を明かとした。
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[Publications] 塩井 章久,他: "両親媒性分子からなる分子集合体の相構造ーDEHPAからなるマイクロエマルジョン相の相図に対する電解質濃度の影響についてー" 京都大学原子エネルギ-研究所彙報. 78. 82-82 (1990)
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[Publications] 原田 誠,他: "両親媒性分子からなる分子集合体の相構造ーマイクロエマルジョンの平衡条件ー" 京都大学原子エネルギ-研究所彙報. 78. 83-83 (1990)
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[Publications] 足立 基斉,他: "マイクロエマルジョンへの荷電分子の取込みーシトクロムCとAOTとの相互作用,シトクロムCの取込みを支配する因子ー" 京都大学原子エネルギ-研究所彙報. 78. 86-87 (1990)
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[Publications] 塩井 章久,他: "両親媒性分子からなる分子集合体の相構造ーW/Oマイクロエマルジョンの形態についてー" 京都大学原子エネルギ-研究所彙報. 79. (1991)
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[Publications] 岸田 昌浩・原田 誠: "W/Oマイクロエマルジョン系を利用した界面反応に関する研究ーW/Oマイクロエマルジョン系におけるキレ-ト・金属錯体カチオンの生成定数,キレ-ト錯体生成反応における界面反応速度ー" 京都大学原子エネルギ-研究所彙報. 79. (1991)
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[Publications] 足立 基斉,他: "マイクロエマルジョンへの荷電分子の取込みー不均一分布の形成とシトクロムCの取込み様式ー" 京都大学原子エネルギ-研究所彙報. 79. (1991)