1991 Fiscal Year Annual Research Report
Sーcarboxymethylーcysteineの光学分割のための晶析現象
Project/Area Number |
02453114
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Research Institution | School of Sci. & Eng., Waseda Univ. |
Principal Investigator |
豊倉 賢 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40063557)
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Keywords | 光学分割 / 結晶成長速度 / 核発生速度 / 結晶純度 / sーcarboxymethylーcysteine |
Research Abstract |
本研究課題ではsーcarboxymethylーcysteine(SCMC)を対象に、光学分割プロセス開発の立場で核化・成長・結晶の高純度化現象について考察し、以下に挙げる定量モデルを提出した。 1.回分式撹拌型晶析装置を用い、NaCl添加系DLーSCMC過飽和溶液中でのLーSCMC種晶の成長実験を行い微結晶の生成速度と粗大晶表面上への付着速度を実測した。さらに、目印をした粗大結晶表面に付着した微結晶の観察も行った。以上の実験より、微結晶付着速度は(1)過飽和溶液中への微結晶の生成速度、(2)付着微結晶が粗大晶中に埋没するまでの時間および(3)付着係数の3つの変数で表される微結晶の付着モデルを提出し、成長開始9〜3時間以内の実測値に対しては本モデルが適用できることを示した。また、この操作時間以降では付着速度は見かけ上0となったが、これは粗大晶表面中の付着微結晶の占有面積率と密接な関係があることを示した。 2.撹拌流動槽を晶析槽とし、NaCl添加系DLーSCMC過飽和溶液中でのLSCMC種晶の成長実験を行った。ここでは、特に懸濁微結晶と種晶表面上の付着微結晶の内D体に着目し微結晶の付着と結晶純度について考察した。その結果D体はまずL体種晶表面上に実測され、その後懸濁微結晶中にD体が実測された。これをD体のheterogeneous nucleationモデルで表し種晶表面上のD体質量は種晶の成長時間の4乗で増加することを示した。成長初期では実測値はこの理論式に従うが、その後実測値が小さくなった。これに対し、Heterogeneous Nuclei量には飽和量があると考えに基づき提出した理論式は実測値と良く一致することを示した。 以上の成果は、ラセミ溶液中のL体種晶の成長速度と核発生速度および不純物の混入量の関係を、微結晶の付着現象に基づき明かにできたもので本研究課題により光学分割のための操作条件設計は可能であると考える。
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[Publications] 横田 政晶,豊倉 賢ら: "Effect of suspended fines on the growth rate of LーSCMC crystal" Proc.of 4th World cong.Chem.Eng.10.7-14 (1991)
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[Publications] 横田 政晶,豊倉 賢: "NaCl添加系DLーSCMC過飽和溶液中での核発生とLーSCMC種晶への影響" 化学工学論文集.
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[Publications] 豊倉 賢,横田 政晶: "Effect of suspended fines on growth of crystals" Proc.2nd Work Shop on Opportunities and Challenges in Crystallization Research.
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[Publications] 横田 政晶,豊倉 賢: "LーSCMC種晶表面上の付着微結晶の挙動" 化学工学論文集.
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[Publications] 横田 豊倉: "LーSCMC種晶表面上へのD体の核化速度" 化学工学論文集.