1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02453119
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南條 正巳 東北大学, 農学部, 助教授 (60218071)
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Keywords | 火山灰土壌 / 沖積土 / スポドリル / 活性アルミニウム / リン酸カルシウム / リン酸マグネシウム / 荷電収支 / 溶解度積 |
Research Abstract |
本年度は黒ボク土に加えてリン保持能の大きいスポドソルを用いてリン収着に伴う荷電収支の化学量論的関係を確立すると共に,溶解度積に基づく沖積土のリン集積状態を検討した. 昨年度,黒ボク土からのリン脱着時に溶出する有機物は固層側の荷電状態にほとんど影響しないことが示された.この結果に基づいて黒ボク土に対するリン収着の物質収支を再検討し,更にスポドソルを試料に加えて,リン収着に伴う荷電収支の化学量論的関係を確立した.その関係は,初期pHにおける収着リンの負荷電量=沈澱したAl^<3+>の正荷電量+試科の正荷電減少量+試料懸濁液の滴定曲線から求めたリン収着に伴うpH上昇に伴うOH^-放出量+終点pHに於ける負荷電の増加量+終点において溶液中に残ったリン酸イオンの量を初期pHから終点pHまで変化させるのに必要なOH^-の量,である. 沖積土に過燐酸石灰を施与し,約1カ月後の降雨翌日にサンプリングし,pF3.8までの土壌溶液を採取した.その土壌溶液を原子吸光法とイオンクロマトグラフによって分析し,繰り返し計算法によってリン酸塩の沈澱溶解平衡を検討した.その結果土壌溶液組成はCaHPO_4・2H_2Oの溶解平衡に達していることが明らかになった. 黒ボク土では多量の活性アルミニウムを含み,CaHPO_4・2H_2Oを添加してもリン酸イオンは活性アルミニウムと反応し,CaHPO_4・2H_2Oは溶解する.しかし,活性アルミニウム含量の少ない沖積土では多量のリン酸施肥をすると活性アルミニウムとの反応が終了し,リン酸カルシウムまたはリン酸マグネシウムなどのリン酸塩が存在するようになる.しかしながら,これらのリン酸塩の生成は実験室では容易にx線回折で確認できるが一般の農耕地土壌では溶解度積からCaHPO_4・2H_2Oが示唆されてもx線回折では確認できない.生成物が単一でないことが考えられる.
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