1990 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ品種Williamsより選抜された硝酸耐性根粒形成変異株の耐性機構の解明
Project/Area Number |
02453120
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大山 卓爾 新潟大学, 農学部, 助教授 (30152268)
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Keywords | ダイズ / 根粒形成変異株 / 硝酸耐性 / 根粒 / ^<15>N / タンパク質 / レグヘモグロビン / 二次元電気泳動 |
Research Abstract |
初めに、親株Williamsと硝酸耐性根粒形成(NOD)変異株を、根粒着生または非着生条件で栽培し、NOD変異株の根が親株より小さい要因について調べた。その結果、NOD変異株では、根の発育が根粒非着生栽培でも親株よりやや劣るが、根粒が着生すると根の発育は更に抑制され根粒増加分だけ根の乾物重が低下した。 変異株は、培地からの硝酸吸収速度が親株より遅く、根の中の硝酸濃度も有意に低かった。変異株においては硝酸のみならず、主な対イオンと考えられるK濃度も親株より低く、また、Na,Ca,Mg濃度も低かった。 根から吸収した窒素は、導管を通って茎葉部に移行した後、その一部が地下部へ再循環する。根郡を二分し、根の片側から投与した ^<15>NO_3の反対側の根郡への ^<15>Nの再循環割合を比べた。処理5日後、吸収した ^<15>Nの約2%近くが反対側の根郡に再循環しており株間に差は無かった。従って、親株と変異株で、地上部から地下部への篩管を経由する再循環の機能には差は無いと判断された。ただし、親株では再循環窒素の大部分が根に分布していたが、変異株では再循環 ^<15>Nの約3割が根粒の発達に利用されていた。根粒は、窒素固定開始までは根の窒素を利用して発育するが、親株根粒では硝酸の存在により根内窒素の利用が阻害され、その結果根粒形成が強く抑制されている可能性もある。 硝酸を与えた区では、無窒素栽培区に比べ根粒中の可溶性タンパクとレグヘモグロビン含有量が低下したが、その程度は親株・変異株間に差が無かった。二次元電気泳動法により各部位のタンパクパタ-ンを比較した所、変異株の根に欠失したタンパクが見つかり、逆に、変異株根粒に親株に無いタンパクが現れた。一方、レグヘモグロビンのサブユニットパタ-ンは、Williamsでは+N,-N栽培区で変わらなかったが、変異株では+N栽培するとLb1の発現が特異的に強く抑制された。
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