1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02453122
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
匂坂 勝之助 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10001645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和田 琢二 北海道大学, 低温科学研究所, 日本学術振興会特別研 (90211804)
藤川 清三 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50091492)
荒木 忠 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00001652)
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Keywords | アミロプラスト / アミロプラスト前駆体 / プラスチドイニシャル / ポプラ / ポプラ皮層細胞 |
Research Abstract |
この研究で一番重要な問題は、アミロプラストの前駆体が実在するかどうかを明らかにすることである。この前駆体が存在することはこれまで知られていないのでいろいろな方法を用いて証明する必要がある。最初に、電子顕微鏡による観察実験を行った。まず、前駆体と思われる構造体形成は、樹木では、休眠から覚めたあとの年間を通じて最も寒い時期(1月末から2月上旬)に始まり、3月末に終了することを明らかにした。これまで知られている細胞小器官と異なることを証明するために、前駆体を形成している細胞の連続切片を調製してこの目的を達成した。従って、この構造体はプラスチド形成のもとになる最初の前駆体であると考えてプラスチドイニシャルと呼ぶことを提唱した。 次の証明として、この前駆体の分離を試みた。ポプラの皮層細胞を酵素を用いて溶解し、糖類を用いて調製した密度勾配遠心法によって分画を試みた。まだ、純粋な状態で得ていないが、特定の密度の画分に目的の小器官を集めることが出来た。電子顕微鏡による観察では、細胞内に存在しているものと同様な形態を示していた。今後、方法の改良と実験材料の選択等を行うことによって純粋な状態で取り出すことが可能と思われる。 プラスチドイニシャルの生成機構について検討を加えたところ、葉緑体で知られている増殖機構と全く異なることがわかった。即ち、アミロプラストの分裂でなくて、親に相当する成熟アミロプラストの表面に盛り上りの構造が出来て、大きくなるにつれて基部に括れの部分が形成されて親のアミロプラストから離れることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 匂坂 勝之助: "木本植物の皮層細胞における休眠覚醒後のアミロプラストの微細構造変化" 日本農芸化学会誌. 55. (1991)
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[Publications] 匂坂 勝之助: "真冬に休眠覚醒後のポプラの細胞にプラスチドイニシャル様の未知の構造体の出現" Trees. (1991)
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[Publications] 匂坂 勝之助: "プラスチドイニシャルの存在" Nature. (1991)