1992 Fiscal Year Annual Research Report
体タンパク質の同化・異化過程における・ソマトメジンCの機能
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02453123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 忠 東京大学, 農学部, 教授 (50011937)
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Keywords | インスリン様成長因子1 / インスリン様成長因子結合タンパク質 / インスリン / タンパク質栄養 / IGF-1 / IGF結合タンパク質 / ソマトメジンC |
Research Abstract |
ソマトメジンC(別名インスリン様成長因子I-IGF-I)は、動物の成長・発達をはじめ諸種の代謝において、重要な機能を果していることが明らかになりつつある新しいホルモンである。このホルモンは、血液中で、特定のタンパク質(IGF結合タンパク質・複数、以下IGFBPs)と結合しており、どの結合タンパク質と結合しているかが、このホルモンの作用発現に大きく影響すると考えられている。本年度の研究では、このIGFBPsのメッセンジャーRNA量が、食餌条件によりどのような制御を受けているかを明らかにしようとした。 動物をタンパク質を給与しない(無タンパク質食給与)、栄養価の悪いタンパク質を給与する(小麦グルテンの給与、大豆タンパク質の給与)等の条件下に置き、肝臓中のIGFBP-1〜4のmRNA量を定量した。その結果、IGFBP-1およびIGFBP-2については、栄養条件が悪くなると、肝臓中のmRNA量が著増することが明らかになった。小麦グルテンにリジンおよびスレオニンを添加した場合、また大豆タンパク質にメチオニンを添加した場合等、食餌タンパク質の栄養価が改善されると、上記2種類のIGFBPsのmRNA量は激減した。一方、IGFBP-3およびIGFBP-4については、変動が認められないが、減少が認められた。また、ストレプトゾトシンを投与して実験的糖尿病にした動物でも、栄養条件の悪い場合と類似した変化が認められた。以上の結果は、IGFBPsの血液中での濃度変化をよく反映するものであると同時に、IGFBPsの遺伝子発現が、食餌条件によって、また、インスリンによって極めて厳密に制御されていることを示しているものと結論した。また、今回の食餌条件では、血液中インスリン濃度に有意差がないことから、食餌とインスリンは、IGFBPsの遺伝子発現について独立した効果を示すともの考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Noguchi,T. Miura,Y.et al.: "Effect of dietary proteins on insulin-like growth factor-1.(IGF-1)messenger ribonucleic acid content in rat liver." British Journal of Nutrition. 67. 257-265 (1992)
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[Publications] Noguchi,T. Miura,Y.et al.: "Effects of dexamethasone on the production of insulin-like growth factor-1 and insulin-like growth factor binding proteins in primary cultures of rat hepatocytes." Bioscience,Biotechnology and Biochemistry. 56. 1396-1400 (1992)