1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血小板の脂質性情報伝達物質産生に関与する酵素系に関す研究
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02453126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鬼頭 誠 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (60027183)
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Keywords | ホスホリパ-ゼC / ヒト血小板 / ホスファチジルイノシト-ル / ホスファチジルイノシト-ルー4,5ービスリン酸 |
Research Abstract |
ヒト血小板の情報伝達系において重要な役割を果たしている酵素のうちイノシト-ルリン脂質特異的ホスホリパ-ゼC(PLC)を純化し、その特性を解明した。 ヒト血小板可溶性画分をプロテア-ゼ阻害剤存在下で、硫安分画、ついでDEAE、ヘパリン、G3000SWカラムクロマトグラフィ-を行うことにより2つのPLC(PLCーI、II)を純化することに成功した。分子量は440及び290KDaであった。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により、両者は146KDaの単一バンドを与えた。従って、PLCーIは3量体、PLCーIIは2量体として存在するものと判定された。この分子量は現在までに精製されたヒト血小板のPLCのうちでは最大であった。PLCーI及びIIは、ラットのPLCーβ、γ_1、γ_2及びδに対する抗体のうち、共に抗PLCーβとδに弱く交差した。PLCーI及びIIのホスファチジルイノシト-ルー4,5ービスリン酸(PIP_2)に対する至適PHは5〜7及び6〜8であった。またホスファチジルイノシト-ル(PI)に対しては酸性域から中性にかけて作用した。このことはPLCーI及びIIが共に生理的条件下で作用しうることを示している。カルシウム依存性に関しては、PIに対しては1mMのカルシウムで共に最大活性を示した。しかし、PIP_2に対しては、PLCーIは100μMカルシウム、PLCーIIは1〜10μMカルシウムで最大活性を示し、1mMカルシウムでは活性が著しく抑制された。 以上のことから、今回単離に成功したヒト血小板PLCは、動物の種々の組織に存在する146KDaの分子量を有するPLCのうち新しいアイソザイムであると結論される。
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[Publications] H.Takamura: "Phospholipid molecular species in human umbilical artery and vein endothelial cells" Journal of Lipid Research. 31. 709-717 (1990)
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[Publications] T.Moriyama: "Purification of Polymeric Phospholipase Cs from Human Platelets" Journal of Biochemistry. 108. 414-419 (1990)