1992 Fiscal Year Annual Research Report
必須アミノ酸よりなる機能性オリゴペプチドの酵素合成
Project/Area Number |
02453131
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松野 隆一 京都大学, 農学部, 教授 (30032931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
木村 幸敬 京都大学, 農学部, 助手 (70211878)
安達 修二 京都大学, 農学部, 助教授 (90115783)
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Keywords | オリゴペプチド / ペプチド合成 / 酵素合成 / 固定化酵素 / 必須アミノ酸 / 二相系反応 / 塩基性アミノ酸 |
Research Abstract |
腸管吸収速度が速いなどの栄養学的に優れた機能を有する、必須アミノ酸を含むオリゴペプチドの効率的な酵素合成法について検討した。1.塩基性アミノ酸(K,アミノ酸は1文字表記)よりなるペプチドの合成系Z-KOHex+XNH_2→Z-KXNH_2+HexOH(トリプシン、アセトニトリル/水系、X:L,W,V,T,K)について検討した。Z-KKNH_2の合成系では、酵酸濃度を低くすることにより90%の高収率を維持する期間を長くできること、KNH_2濃度の上昇により収率が95%に向上することを明らかにした。また、Z-KKKNH_2も20%の収率で得られた。これらの結果は反応機構に基づくシミュレーションとよく一致した。カチオン交換樹脂に吸着、架橋して調製した固定化トリプシンによる合成では、基質の樹脂への分配特性により生成物の合成挙動が異なった。KNH_2の分配の大きい樹脂は、Z-KKNH_2の収率を向上した。また、Z-KTNH_2は53%の収率で得られた。 2.固定化酵素カラムによる長期連続オリゴペプチド生産では、直結した2固定化酵素カラムで220時間にわたり80%以上の収率でトリペプチドZ-GFLNH_2を連続的に合成した。反応後の固定化酵素の残存活性は、第1カラムで94%、第2カラムでは100%と非常に高く、長期間安定に運転可能なリアクターが設計できた。 3.分岐鎖アミノ酸のみからなるオリゴペプチドの合成は困難であった。立体障害によるものと考えられるが、詳細な考察を行うには至らなかった。 4.合成反応の効率と必須アミノ酸評価パターンを考慮すると、成人にはKI(収率100%):MLF(100%):HV(100%):TW(72%)=1:1.15:1:0.25のモル比、2-5才児にはKI:MLF:HV:TWV(72%):GFL(80%以上):KL(72%):KT(53%)=1:0.7:1:0.3:1:0.5:1のモル比のペプチドミクスチャーがよいと考えられた。 これらのミクスチャーを調制するために必要な酵素はわずか4種であり、かつ各ペプチドを高収率で合成する手法を確立した。
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[Publications] Ryuichi Matsuno: "Factors affecting performance of proteinase-catalyzed bioreactors for oligopeptide syntheses" Ann.N.Y.Acad.Sci.672. 363-373 (1992)
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[Publications] Yukitaka Kimura: "Enzymatic synthesis of peptides with hydrophilic amino acid in water-miscible organic solvent" Ann.N.Y.Acad.Sci.672. 458-461 (1992)
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[Publications] 松野 隆一: "バイオリアクター入門(生物化学実験法28)" 学会出版センター, 63 (1992)