1990 Fiscal Year Annual Research Report
比較代謝化学的手法によるPー450機能性人工触媒の創製と薬物代謝研究への応用
Project/Area Number |
02453140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広部 雅昭 東京大学, 薬学部, 教授 (20012594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 恒彦 東京大学, 薬学部, 助手 (50173159)
増野 匡彦 東京大学, 薬学部, 助手 (90165697)
太田 茂 東京大学, 薬学部, 助手 (60160503)
長野 哲雄 東京大学, 薬学部, 助教授 (20111552)
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Keywords | チトクロ-ムPー450化学モデル / 薬物代謝 / 比較代謝化学 / ミクロペルオキシダ-ゼ / チトクロ-ムPー420 / 活性代謝物 / S軸配位子 |
Research Abstract |
本研究は薬物代謝を司るチトクロ-ムPー450の機能を化学的にシュミレ-トした人工代謝系を構築し、薬物代謝研究へ応用することを究極の目的とするが、初年度は以下の成果を挙げた。 (1)Pー450モデルとしてその活性中心であるポルフィリン鉄錯体を種々修飾した多くの化学触媒系を構築し、これらを複雑な実際の薬物の代謝実験に応用するために生体系との相同性を論ずる比較代謝化学的手法を確立した。すなわち安定同位体標識をした基質について反応を行い、反応生成物を二次元クロマト展開し、得られるラジオクロマトグラムのパタ-ンを比較することにより最適なモデル系を選別する方法である。本手法を種々の薬物の代謝研究に応用し、化学モデル系によって初めてPー450の新規な代謝機能を発見するなどその有用性を明らかにした。 (2)化学触媒系の機能の精密化をはかるために、Pー450の構造・活性相関に関する生体系からの情報を得る目的で、S基軸配位子を除去した変性Pー450(Pー420)を調製し、その代謝機能を検討した結果、酸素化機能に重要な役割を果たすことを明らかにした。本知見を化学的に実証するために分子内にS基軸配位子を有するポルフィリン錯体を合成し、反応速度論的解析を行い、S軸配位子が酸素分子の開裂に著しい活性化効果を示すことを明らかにした。これらはPー450の化学・生化学に極めて重要な初めての知見となった。またチトクロ-ムCより調製したミクロペルオキシダ-ゼを用い、一般のN配位ポルフィリンの反応性を明らかにし、ポルフィリン化学における軸配位子の重要性を示した。 (3)Pー450機能性触媒を用い、種々の基質の水酸化、脱アルキル化反応を行い、活性代謝物を規範とする新規な生理活性物質を得ることに成功し、その有用性を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Masumoto: "Comparative Study on Drug Metabolism Using Cyt.Pー450 Chemical Model and Liver Microsomal Systems." J.PharmacobioーDyn.,. 13. S65-65 (1990)
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[Publications] T.Higuchi: "Synthesis of a Highly Stable Iron Porphyrin Coordinated by Alkylthiolate Anion as a Model for Cytochrome Pー450 and Its Catalytic Activity in OーO Bond Cleavage." J.Am.Chem.Soc.112. 7051-7053 (1990)
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[Publications] K.Aihara: "3ーHydoroxycoumarins:First Direct Preparation from Coumarins Using a Cu^<2+>ーAscorbic AcidーO_2 System and Their Potent Bioactivities." Biochem.Biophys.Res.Comm.168. 169-175 (1990)
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[Publications] K.Aihara: "Increasing 5ーLipoxygenase Inhibitory Activities by Oxidative Conversion of oーMethoxyphenols to Catechols Using a Cu^<2+> ーAscorbic Acidー O_2 System." Chem.Pharm.Bull.38. 842-844 (1990)
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[Publications] Y.Nagatsu: "Application of Chemical Pー450 Model Systems to Study on Drug Metabolism (III);Oxidation of 3ーIsobutyry1ー2ーisopropylpyrazoloー[1,5ーa]pyridine." Chem.Pharm.Bull.38. 400-403 (1990)
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[Publications] T.Mashino: "Sulfide Oxidation,Amine NーDemethylation,and Olefine Oxidation by HemeーUndecapeptide,Microperoxidaseー11,in the Presence of Hydrogen Peroxide." Tetrahedron Lett.31. 3161-3166 (1990)