Research Abstract |
(1)野外調査研究:南西諸島の屋久島・種子島・中之島の照葉樹原生林において9月下旬および11月下旬の2回,現地調査を行った。また,昆虫材料を採取し,実験室に持ち帰り実験に供した。 (2)DNA分析:研究材料とする食材性昆虫から,高分子核DNAを抽出する方法を検討した。基本的には,すでにアリ類について開発された方法が適当であることがわかった。DNAサンプルは,個体ごとに得なければならず,1個体あたりのDNA量は少量であるが,1個体あたり数マイクログラムのDNAを得ることができた。この量は,フィンガ-プリト法を用いるのに充分な量である。しかし,たとえば,オオシロアリでは腸内に共生原生動物を多量にもつため,解剖によってあらかじめ消化管を除いて,DNA抽出を行なっている。これで,ほとんどの共生生物由来のDNAを除去できると考えられた。しかし,最終的にはオオシロアリのDNAだけにハイブリダイズするプロ-グを準備する必要がある。 (3)アロザイム分析:すでに現有されているアロザイム分析用機器を用いて,各食材性昆虫について,多型を示す遺伝子座を見つけるために,スク-リングを行なった。調べたものは,エステラ-ゼα・β,ADH,MDH,LDH,αーGPDH,ME,GPI,ODH,XDH,PGMなどである。この結果,半数ほどの酵素で多型を示すことが分ったので,それらの酵素についてさらに詳しい分析を進めている。
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