1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川那部 浩哉 京都大学, 理学部, 教授 (60025286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 哲 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80101286)
重定 南奈子 京都大学, 理学部, 助手 (70025443)
村上 興正 京都大学, 理学部, 助手 (30025415)
滝 明夫 京都大学, 理学部, 助手 (30025340)
安部 琢哉 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (00045030)
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Keywords | 群集構造 / 種間社会 / 個体間関係 / 個体差 / 生活差 |
Research Abstract |
タンガニ-カ産カワスズメを個体識別し、その婚姻形態や繁殖成功をハビタットと関連させて解析した。本種の産卵日は、月齢8ー9が盛んである。産卵場所を浅場と深場に分けて繁殖を比較すると、浅湯では雌の密度が低いが滞在期間が長い、一方深場では雌の密度は高く一夫多妻のものが浅湯に比較して有意に多いが、平均滞在時間は浅場より短い。また、繁殖成功率はつがい関係が維持された方が変化した場合よりも高い。このような違いは個体の相互関係が条件により多様に変化していると考えられる。 飼育下で、トゲオオハリアリのコロニ-全個体を個体識別して、その一生の行動を追跡した.その結果、全般的には加齢にともなう分業がみられたが、個体の行動には可塑性があり、個体毎に経験する周囲の状況に影響を受けて変化していることが判明した. 近接した岩礁性潮間帯のタイドプ-ル内の生物群集を調査したところ、潮位や深さなど物理的条件が非常に近似しているにも拘らず、生物相に著しい違いが見られた.この違いには、例えばウノアシの密度が低いところでは、アオノリがみられるなど特定種の影響だけでなくレイシガイダマシモドキのようなプ-ル間をまたがって移動する捕食者が、プ-ルに訪れる頻度なども影響している可能性が考えられた. 岩礁性潮間帯に分布する2種の笠貝、ヨメガカサガイとキクノハナガイの休息場所の定着性や競争能力には、著しい個体変異がみられ、これがその場所の餌となる3種類の藻類の分布に影響を及ぼしていることが判った.また、両種では捕食者からの逃避行動にも種による違いだけでなく個体変異が大きく、これが両種の分布に影響していることなど、個体の相互作用の多様性が深く群集構造そのものに係わることを示した. 河川敷に生息するハタネズミにテレメトリ-法と糸巻法を同時に併用することにより、ハタネズミの抗道構造とその利用状態を調べた.その結果坑道には、個体が相互に利用する幹線的な所とかなり個別に利用する私的な所があること、雌と独立前の子供では共通の坑道や巣口を利用すること、餌場は巣口のすぐ近くにあるらしいことなど、本種の個体間関係に坑道がかなり関与していることが判った.
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[Publications] 安部 琢哉: "サバンナにおけるシロアリの生態" 地形. 12. 189-202 (1991)
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[Publications] ABE,T.&HIGASHI,M.: "Cellulosecentered perspective on terestorial community structure" Oikos. 60. 127-133 (1991)
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[Publications] KAWANABE,H.: "Conservation of freshwater fishes in Japanese Archipelago with empahsis on relation to its physical environment and lower level diversity" COA Forest Ser.39. 31-45 (1991)
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[Publications] 川那部 浩哉(小山 修三,秋道 智弥 編): "動物の資源量からみた漁労" 狩りと漁労.
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[Publications] KAWASAKI,K.,NAKAJIMA,H.,SHIGESADA,N.&TERAMOTO,E.: "Structure,stability and succession of model ecosystems" Theoreticsal Studies of Ecosystems:Network Perspective(eds HIGASHI,M.&BURNS,T). 179-210 (1991)
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[Publications] YAMAGISHI,S.NISHIUMI,I.&SHIMODA,C.: "Extraーpairーfertilization in monogamous bullーheaded shrikes revealed by DNA fingerprinting" Auk. (1992)
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[Publications] 片野 修: "個性の生態学" 京都大学学術出版会, 256 (1991)
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[Publications] 川那部 浩哉: "川と湖の魚2" 保育社, 216 (1990)
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[Publications] 重定 南奈子: "数理生態学" 岩波書店, (1992)
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[Publications] 山岸 哲: "マダガスカル自然紀行" 209 (1991)