1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454008
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
新免 輝男 姫路工業大学, 理学部, 教授 (80114510)
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Keywords | 原形質流動 / アクトミオシン / 低温 / イオン輸送 / カルシウム / 液胞膜除去細胞 |
Research Abstract |
植物細胞内では活発な原形質流動が見られ,細胞内における物質輸送に重要な役割を演じている。その流動力は動物の筋肉で収縮力の発生を行っているのと同じアクトミオシン系が関与していることがわかっている。筋肉においてはアクトミオシン系はカルシウムによって制御されていることがわかっている。近年、植物細胞においても原形質流動がカルシウムによって制御されていることが分ってきた。その機構は特に車軸藻においてよく分っている。即ち、10^<ー6>M以上のカルシウムによって原形質流動は阻害される。一方、原形質流動の速度は温度に強く依存することが知られている。この流速の温度依存性はアクトミオシン系の温度依存性を反映していることが考えられる。しかし、低温下における流速の低下にはイオン輸送の低温阻害による原形質内遊離カルシウム増加も関与している可能性がある。これを検討するために、低温顕微鏡を用いて車軸藻における流速の温度低存性を詳しく解析した。 温度と流速の関係を個々の細胞について調べた。その結果、温度と流速の関係は細胞によって2つの型がみられた。1つのグル-プでは、温度と流速の関係はほぼ直線であった。もう1つのグル-プでは25℃から15℃位ではほぼ直線で,それ以下の温度ではその直線からそれて,低温部での流速阻害がより著るしかった。 次にカルシウムのキレ-ト剤であるEGTAを含む液で車軸藻の液胞内を灌流し、液胞胞除去細胞を調製した。液胞膜除去細胞では全測定温度において温度と流速の関係は直線であった。この結果から、細胞内にEGTAが導入されることにより,イオン輸送の低温阻害による原形質内遊離カルシウムの増加が抑えられたものと考えられる。このように正常細胞における流速の温度依存性は必ずしもアクトミオシン系の温度依存性を反映しているとは限らないことが明らかとなった。
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[Publications] 新免 輝男: "緑の筋肉ーシャジクモ類における原形質流動の活動電位による制御" 遺伝. 44. 21-25 (1990)
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[Publications] Kohno,T.,Chaen,S.,Shimmen,T.: "Characterization of the translocator associated with pollen tube organelles" Protoplasma. 154. 179-183 (1990)
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[Publications] Oiwa,K.,Chaen,S.,Kamitsubo,E.,Shimmen,T.,Sugi,H.: "Steadyーstate forceーvelocity relation in the ATPーdependent sliding movement of myosinーcoated beads on actin cables in vitro studied with a centrifuge microscope" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 87. 7893-7897 (1990)
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[Publications] Shimmen,T.,Xu,Y.ーL.,Kohno,T.: "Inhibition of cytoplasmic streaming by sulfate in characean cells." Protoplasma. 158. 39-44 (1990)
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[Publications] Kohno,T.,Okagaki,T.,Kohama,K.,Shimmen,T.: "Pollen tube extract supports the movement of actin filaments in vitro." Protoplasma. (1991)
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[Publications] 新免 輝男(編,著): "現代植物生理学4巻 環境応答" 朝倉書店, 208 (1991)