1990 Fiscal Year Annual Research Report
トウモロコシ葉PEPカルボキシラ-ゼ遺伝子発現の窒素による制御機構
Project/Area Number |
02454010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 達夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (50023453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 俊治 名古屋大学, 農学部, 助教授 (00127276)
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Keywords | トウモロコシ(<Zea>___ー <mays>___ー L.) / PEPカルボキシラ-ゼ / 遺伝子発現の窒素による制御 / Fdーグルタミン酸合成酵素 / C_4光合成遺伝子 / カルボニックアンヒドラ-ゼ / シコクビエ(<Eleusine>___ー <coracana>___ー) / アスパラギン酸アミノトランスフェラ-ゼ |
Research Abstract |
1.トウモロコシ幼植物の窒素欠乏からの回復過程にある展開葉の基部、すなわち成熟中の細胞領域を用い実験を行い、以下の研究実績を得た。1)窒素源として硝酸塩の他にアンモニウム塩もPEPカルボキシラ-ゼ(PEPC)遺伝子の転写を誘起することが明らかになった。2)植物生育の昼または夜に硝酸塩を補填し、その12時間後に単離核を得て、PEPC遺伝子の転写活性を測定したところ、いずれの場合にも転写活性は増加したが、昼に補填したものにおいてより大きな促進がみられた。この転写反応の日周リズムは主として硝酸塩吸収の昼夜におけるものと判断された。3)切除葉による転写反応解析のバイオアッセイ系を確立し、窒素源または代謝中間体などを吸収させ、転写反応ならびにmRNA蓄積の変動を調べた。その結果、窒素源、グルタミンまたはグルタミン酸を加えることにより、PEPC遺伝子の転写が促進されるとともに、そのmRNA蓄積が認められるが、それにはzeatinをはじめとするサイトカイニンの共存が不可欠であることが判明した。4)窒素回復過程においてグルタミンとグルタミン酸の蓄積と並行しPEPC遺伝子の転写活性が増大するとともにmRNAの蓄積も増加することが明らかになった。5)窒素回復過程ではPEPC遺伝子発現の促進と並行してフェレドキシン依存型グルタミン酸合成酵素(FdーGOGAT)の活性が増大することが明らかにされたため、両者の遺伝子発現の相関を解析にむけてトウモロコシFdーGOGATのcDNAを単離し、その塩基配列を決定した。6)以外のC_4酵素であるカルボニックアンヒドラ-ゼ活性がPEPCと同様に窒素により選択的に制御されることを明らかにした。2.NADーリンゴ酸酵素型のC_4酵素であるアスパラギン酸アミノトランスフェラ-ゼについて遺伝子発現の窒素による制御様式を調べるため、この酵素をシコクビエから精製し、その特異抗体の作製に成功した。
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[Publications] SUGIHARTO Bambang: "Regulation of expression of carbonーassimilating enzymes by nitrogen in maize leaf" Plant Physiology. 92. 963-969 (1990)
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[Publications] BURNELL N.James: "Light induction and the effect of nitrogen status upon the activity of carbonic anhydrase in maize leaves" Plant Physiology. 94. 384-387 (1990)
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[Publications] TANIGUCHI Mitsutaka: "Aspartate aminotransferase from Eleusine coracana,a C_4 plant:Purification,characterization,and preparation of antibody" Archives of Biochemistry and Biophysics. 282. 427-432 (1990)
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[Publications] SAKAKIBARA Hitoshi: "Molecular cloning and characterization of complementary DNA encoding for ferredoxinーdependent glutamate synthase in maize leaf" Journal of Biological Chemistry. 266. 2028-2035 (1991)
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[Publications] 鈴木 石根: "窒素をシグナルとする光合成タンパク質遺伝子の制御" 化学と生物. 28. 418-419 (1990)
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[Publications] 鈴木 石根: "葉組織からの核単離法" 植物細胞工学. 2. 664-668 (1990)