1990 Fiscal Year Annual Research Report
両生類初期発生における細胞間相互作用の全体像の発生工学的手法による解明
Project/Area Number |
02454025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山名 清隆 九州大学, 理学部, 教授 (20037162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 一也 九州大学, 理学部, 助手 (30150395)
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Keywords | カドヘリン / 細胞接着 / イモリ / アフリカツメガエル / 糖脂質 / 細胞接着複合体 |
Research Abstract |
本研究では両生類初期胚に存在する細胞接着機構の実体を明らかにするため蛋白質・遺伝子レベルの研究及びアンチセンスオリゴヌクレオチドの注入による接着分子に対する母性mRNAの欠失実験を行ってきた。1)まず初期胚での細胞接着分子については、そのCa^<2+>依存性細胞接着を阻害するモノクロ-ナル抗体M4Bの認識抗原の同定を進め、タンパク質エピト-プとしては58kDa蛋白と交差反応することを確認した。又この抗原がイモリにも存在することを明らかにし、この全く新しい細胞接着分子の普遍的存在を確認した。この抗原は別に初期胚の膜上に存在する糖脂質にも交差反応することが分かっており58kDaタンパク質とこの糖脂質の会合が接着に重要な働きを果たしている可能性が予測される。細胞接着が単に一種類の細胞接着分子(例えばカドヘリン)によって生ずるのではなく複数種の分子の複合体によってその機能と特異性が担われているとする私達の新しい仮説の検証を二次元電気泳動法とWestern blottingを組合せまた共鳴エネルギ-転移などの手法を駆使して進めているところである。2)またアフリカツメガエル初期胚のCa^<2+>依存性細胞接着分子カドヘリンについても抗体により初期胚でその存在を検出し、さらにPolymerase ChainReaction法によってその遺伝子の分離に成功しつつある。今まで全く研究が進んでいなかったイモリのカドヘリンの遺伝子の部分的単離及びカドヘリンタンパク質の同定にも同様に成功しておりその遺伝子の全貌を解析しつつある。3)アンチセンスオリゴの卵母細胞への注入による母性mRNAの欠失実験については、DNAの注入、卵母細胞の成熟・色素標識法、宿主への移植と産卵、人工受精などの基礎的技術的手法の確立を終え実際のアンチセンスオリゴの注入を開始している。今までのところ、奇形胚の出現は認められず注入するアンチセンスオリゴの塩基配列などの変更、mRNAの検出などを進めて行く予定である。
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