1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454029
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
八尾 昭 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (40047353)
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Keywords | ジュラ紀古・中世 / 放散虫化石 / 群集解析 / 種構成 / 類似度 |
Research Abstract |
本研究は、日本の各地帯の下・中部ジュラ系から産する保存良好な放散虫化石を形態学的・分類学的に検討して種オ-ダ-での群集組成を詳細に解析し、その組成特性を明らかにすることを主目的にしている。この目的にそって、本年度(平成2年度)は美濃帯に位置する4地域のマンガンマイクロノジュ-ル5試料(福井県南条郡河野村菅谷[NJー12]、岐阜県加茂郡川辺村上麻生[HKー140]、郡上郡八幡町小間見[GHー1]、各務原市鵜沼[INー7,INー11])を検討した。 検討試料は、放散虫化石の特徴種からNJー12が最も古く(Pliensbachian後期〜Toarcian最前期)、ついでHKー140(Aalenian)、GHー1(Bajocian前期)、INー7(Bajocian)と若くなり、INー1が最も新しい(Bathonian)と推定され、下部ジュラ系中部から中部ジュラ系中部に至る5層準のものである。各試料の化石群集を構成する種数は、NJー12:199,HKー140:188,GHー1:271,INー7:287,INー1:262であり、各群集とも多数の種で構成されることが明らかになった。さらに、各群集の構成種数と各群集間の共通種数にもとづいて類似度を算出した。その結果は、隣接層準間の類似度は高く、層準が離れると低くなる傾向を示し、特徴種から判断した各試料の新旧関係に調和的である。各層準の固有種は、各層準の種数の24〜32%とかなり高い数値を示す。2層準間のみで共通な種は5〜11%と少なく、一方、3層準以上にわたって共通な種は32〜60%であり、高い数値を示す。これらの結果から読み取れる放散虫化石群集の組成変遷は、ジュラ紀古世中期ー中世中期における進化過程を示唆するものと考えられる。つまりこれらの群集変遷パタ-ンは、短期間に新種の放散があり、数百万年以内にその半数が消滅する一方、残りの半数は千数百万年をこえる長期間生存していたことを反映すると考えられる。
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