Research Abstract |
平成2年度の研究成果を踏まえ,以下本年度(平成3年度)交付申請書に記した[研究実施計画]に沿って,本研究で得られた主な成果を箇条書きにする。1.計測システムの再構成とその開発:平成2年度で得られた各種循環生理情報の無侵襲計測法を基礎に,(A)容積振動法と胸部電気的アドミタンス法とを併用した全身循環機能計測システム(測定対象量;血圧,心拍出量,脈波間隔,脈拍数,末梢循環抵抗,心室駆出時間,心臓酸素消費量指標(rate pressure product)),及び容積振動法をベ-スに末梢側体肢循環情報を多機能計測出来る(Bー1)電気的アドミタンス・カフ法による体肢循環機能計測システム(測定対象量;血圧,体肢血流量,体肢静脈血管容量特性,体肢動脈硬化度,体肢循環抵抗,ヘマトクリット,毛細管圧,毛細管漉過率,前後毛細管抵抗比)と(Bー2)^2波長分光法による計測システム(測定対象量;血圧,動・静脈血液酸素飽和度,動・静脈血管弾性特性)の設計開発を行った。更に,本システムの福祉・在宅医療への応用も加味し,日常生活の自由行動下でも循環情報を簡易に長時間取得できることを目標に,特に(A)のシステムを携帯型とする設計開発も実施し,無拘束循環情報モニタシステムの実現性を計った。2.健常人による試用とシステム評価:前記1.で得た各システムを健常人に対して試用したところ,各種循環生理情報が広い測定レンジで再現性良く同時計測出来ることが確認され,本法の有効性と本システムの有用性が確認された。特に,光を用いた(Bー2)のシステムに於ける血液酸素飽和度計測ついては,家兎による動物実験及び光学的に生体血管系を模倣したキュベット血液層モデルを作成し,ヘマトクリット,酵素飽和度を広範囲に変化させて本法誤差を調べたところ,従来のパルスオキシメ-タ法以上の高精度を有し,循環・呼吸・組織酸素代謝の同時計測として有効であることが検証された。
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