1992 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおけるゲノム容積の変異とその育種への応用に関する研究
Project/Area Number |
02454034
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山元 皓二 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70011971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 美規 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (20236342)
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Keywords | ゲノム容積 / イネ / 4倍体照射法 / DNA含量 |
Research Abstract |
平成2年度・3年度に引き続き、4倍体照射法によって作出された2倍体突然変異系統のゲノム容積(細胞核あたりDNA量)と形質との相関を明らかにする実験を行った。 前2回の形質調査は東京大学農学部実験圃場(東京都文京区)と東京大学農業部附属多摩農場(東京都田無市)で行ったが、本年度は新潟県農業試験場(新潟県長岡市)の圃場で栽培して行った。東京に比べ播種が1ケ月早まったことが諸形質にどのように影響するかに注目し、ゲノム容積との関係を考察するための情報を得ようとした。栽培地・栽培時期の違いは草姿や穂の形態や粒形など全体的にみた草の型を変化させることはなかった。しかし、生育期間を長くしたことにより東京の栽培では明確ではなかった系統間の出穂期の違いが拡大され顕在化した。播種期が早ったために出穂期が早くなる系統と東京での出穂期とほとんど変らないものとがあった。また、8月中旬までに出穂するものとしないもので草丈に占める穂長の割合が異なる2つのグループに分かれることが分かった。8月中旬までに出穂する系統は草丈が95cmから117cmぐらいの間にあって、草丈の約25%を穂が占めていた。一方、117cmより草丈の高い系統は8月下旬、9月上・中旬にまで出穂期がばらついており、草丈も140cmに達する系統があった。草丈の違いによらず草丈に占める穂長の割合は約20%であった。このようなグループ分けは日本在来品種にも通用することが示唆された。 諸形質とゲノム容積の間の関係を明らかにするために相関をとってみた。残念ながら相関がみられるのは花粉の大きさのみであり、ゲノム容積と変異形質(とくに量的形質)には直接的な関係はないと結論せざるを得ない。ゲノム容積そのものではなく変動する過程で生ずる遺伝子システムの変異が強く表現型に影響していると言うことであろう。
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