1990 Fiscal Year Annual Research Report
ソバの祖先野生種は何か、起原地は何処かーその遺伝学的研究
Project/Area Number |
02454037
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 近江 京都大学, 農学部, 助教授 (20109044)
|
Keywords | ソバ / ダッタンソバ / <Fagopyrum>___ー <cymosum>___ー / 野生ソバ / 栽培植物の起原 / 中国雲南省 / アイソザイム |
Research Abstract |
1.ソバの起原 ソバの祖先野生種を中国雲南省で発見し、「ソバの祖先野生種は何か、起原地は何処か」という本研究の主題に対して答えを出すことが出来た。祖先野生種と考えられる新種は脱粒性、休眠性、分枝性という野生形質をもつ他は、栽培ソバに極めて類似し、ソバとの交雑も容易である。また、栽培ソバの集団はアロザイム変異の大部分をこの野生種の集団から受けついでいることも明らかとなった。祖先野生種の自生地は1ケ所しか確認しておらず、詳しい分布は今後の調査を待たねばならないが、極めて狭い地域に限られると思われ、従って、中国雲南省がソバの起原地と考えられる。 2.ダッタンソバの起原 ダッタンソバについても野生種が中国四川省、チベットからカシミ-ル、北部パキスタンの広い範囲に分布することが明らかとなった。四川省のものとチベット以西のものとは形態的にもアイソザイムの面でも異なる。アイソザイム変異から見ると栽培ダッタンソバはチベット以西の野生種と全く同じであり、従ってチベットの野生種をダッタンソバの直接の祖先と考えることが出来るが、この野生種はより古い型と考えられる四川省の野生種と栽培ダッタンソバの交雑に由来した可能性もある。今後の遺伝学的研究により解決をはかりたい。 3.ソバ属<Fagopyrum>___ー各種の分布と類縁関係 野生種のうちF__ー・<gracilipes>___ー、4倍体F__ー・<cymasum>___ー及び野生ダッタンソバF__ー・<tataricum>___ーの3種は広い分布域を持つが、他は雲南省及び四川省南部の極めて狭い地域にのみ分布していることが明らかになった。系統関係を明らかにする第一歩として、各種内での形態、アイソザイム、ctDNAの変異を調査しつつある。他の分類群では種の違いとされるほどのアイソザイムやctDNAの変異をF__ー・<leptopodum>___ーやF__ー・<cymosum>___ーは種内に保有しており、また新しい種が発見されることなどもあって、種間の類縁関係については明確な答を得ていない。
|