1992 Fiscal Year Annual Research Report
ソバの祖先野生種は何か.起原地は何処かーその遺伝学的研究
Project/Area Number |
02454037
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大西 近江 京都大学, 農学部, 助教授 (20109044)
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Keywords | ソバ / ダッタンソバ / 野生祖先種 / 栽培植物の起原 / ソバ属の分類 / アイソザイム / ctDNA |
Research Abstract |
ソバ属の栽培種2種、その野生祖先種と考えられる亜種2種、及び新しく発見した野生種3種を含む野生種9種について、形態、アイソザイム及び葉緑体DNA(ctDNA)の変異にもとづいて分類を試みた。形態、アイソザイムにもとづく系統樹とctDNAにもとづく系統樹が得られた。これから次のことが結論できる。 (1)二つの系統樹は細かい1、2の点を除けば良く一致している。 (2)ソバ属は栽培種であるソバ、ダッタンソバを含むF.cymosumのグループとF.cymosum以外の全ての野生種からなる他のグループの2つに分けられる。 (3)新しく発見したF.capillatum、F.pleioramosum、F.callianthuorは形態、アイソザイム、CtDNAのいずれかの面からみてもF.gracilipesに近いものである。 (4)ソバ、ダッタンソバの野生祖先種と思われるF.esculentum ssp.ancestralis,F.tataricum ssp.Potaniniは、ソバF.esculentum、ダッタンソバF.tataricumに極めて近縁の種であり、野生祖先種だと考えている種以外で栽培種に近縁の野生種はソバに近縁のF.autotropicumがあるだけである。 (5)新しく発見したF.autotropicumはソバ属の種に共通の異花柱性を失ない自家和合性であり、この変化はソバ属進化の中で比較的最近起こったことであろう。この種が栽培化されれば当然自家和合性となるはずであるがソバはそうでない。 (6)結局ソバは現在雲南省永勝県麗江県に自生する私の発見したF.esculentum ssp.ancestralis Ohnishiが野生祖先種であり、栽培化したのは彝族であろう。 (7)ダッタンソバの祖先種はおそらく四川省北、北西部からチベット東部にかけて自生するF.tataricum ssp.Potaniniであろう。他の民族が栽培化した可能性もあるが、彝族である可能性が高い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ohnish,O.: "Buckwheat in Bhutan" Fagopyrum. 12. 5-13 (1992)
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[Publications] Ohnish,O.: "Amemorandum on the distribution of Fagopyrum species in Tibet and Himalayan hills" Fagopyrum. 13. (1993)