1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
草薙 得一 京都大学, 農学部, 教授 (50205069)
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Keywords | 雑草害 / 雑草の発生予測 / 雑草の発生診断 / 水稲直播栽培 / 雑草の埋土種子集団 |
Research Abstract |
水稲に対する雑草害の発生予測や診断に必要な基礎デ-タを得る目的で,本年度は雑草の発生条件と水稲との競合様相の実態解析,埋土雑草種子に関する調査などに重点をおいて研究を実施した。実験は慣行移植栽培(移植区)と乾田耕起直播栽培(直播区)を設けて比較した。 1.作物・雑草の競合要因と生理・生態的機能特性との関係 (1)供試圃場は10数年間除草剤を連用して雑草の発生を完全に抑制していた水田であったが,依然として大きな埋土種子集団の存在が認められた。(2)本年無除草で栽培したところ,試験圃場には23科54種に及ぶ多数の雑草が発生した。発生量は直播区が移植区に比べて著しく多く,10a当り全乾物重では直播区が1,983kg,移植区が696kgであった。(3)水田雑草の埋土種子量の把握は従来の採取土壤の比重分離による方法だけでは微小種子の回収が不十分であり,採取生土を用いた直接発芽法との併用が有効であった.(4)直播区の発生雑草は移植区に比べて草丈が水稲を上廻る草種が多く,しかも茎数,分枝数が多く,群落内環境と水稲の受光態勢の悪化を助長した。このため特に生育中期以降,直播区の水稲では雑草発生量に対応して褪色,光合成機能の低下が顕著であった。 2.雑草発生量および除草時期と水稲の生育・収量との関係 (1)水稲の生育・収量は雑草発生量に対応して明瞭な減少傾向を示し,最大減収率は直播区で91%,移植区で53%であった。(2)直播栽培では乾田期間を無除草状態におくだけでも6%前後の減収が認められた。雑草重量は播種後70日頃から急速に増加し,穂数の減少と登熟阻害をもたらし,これが直播栽培における減収の主因となった。(3)雑草害に関与する草種は直播栽培と移植栽培とでは異なり,前者は湿生雑草が中心であり,後者で問題となる水生雑草とは生理・生態的特性に大きな差異が認められた。
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