1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454042
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土屋 幹夫 岡山大学, 農学部, 助教授 (80127571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖 陽子 岡山大学, 農学部, 助教授 (30127550)
久保田 尚浩 岡山大学, 農学部, 助教授 (70033272)
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Keywords | 塩分ストレス / イネ / 耐塩性 / 耐乾燥性 / 構成呼吸 / 維持呼吸 / 蒸散流濃度係数 |
Research Abstract |
本年度は、耐塩性品種KalaーRata 1ー24(KR1)、感受性品種IR28を供試し、両品種の対塩生理の違いを、培養液に珪酸を添加して育成した個体の水分収支と、低濃度のNaCl処理を前もって行った場合の個体の生育に焦点をあてて検討した。 標準および100ppm珪酸(SiO_3^<2->)濃度の木村氏B液(pH5.3〜5.5)で、8葉期まで水耕した2系列の両品種個体を対象に、NaCl濃度処理およびNaCl濃度処理と同程度の水ポテンシャルとしたPEG濃度処理条件下における吸水蒸散特性を調査した結果、個体の蒸散量は両品種でNaCl、PEG濃度が高まるにつれて低下するが、KR1ではNaCl処理下で、IR28ではPEG処理下で吸水蒸散速度がより高く維持されることが明確になり、とくにIR28では珪酸付与によって水分バランスがより高く維持される傾向が認められた。また、蒸散流中のNa^+濃度と培地のNa^+濃度比である蒸散流濃度係数(TSCF)は、KR1では珪酸付与によって殆ど変化しなかったが、IR28では高NaCl濃度下におけるTSCFの値が低下し、地上部へのNa^+移行量も減少した。これらの結果から、耐乾燥性の形質が必ずしも耐塩性を高めることにはつながらないこと、また、珪酸の付与は根部のNa^+排除能力の改善と水分バランスの維持を通じて、耐塩性の強化に貢献し得ることが示唆された。また、0.05あるいは0.1%のNaCl濃度処理を前もって行った場合には、その後の比較的高濃度のNaCl条件に対する生育反応が耐塩性および感受性品種の両方で改善される傾向が認められ、耐塩性獲得の動態解析上の興味ある対象として注目された。なお、維持呼吸および構成呼吸とイオン吸収の関係については、根の維持呼吸係数が根の生長と係わらない窒素の挙動に関係していることが認められ、現在解析中のNa^+の動きとともに今後その詳細を解明する予定である。
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