1992 Fiscal Year Annual Research Report
作物体諸器官における水の通導と吸収及び蒸散との相互関係
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02454043
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
原田 二郎 佐賀大学, 農学部, 助教授 (00111485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 典幸 佐賀大学, 農学部, 教授 (20039316)
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Keywords | 根系構造 / 吸水 / パイプモデル / 通導 / 土壌水分 / ヒートパルス法 / コムギ / マメ科作物 |
Research Abstract |
1.前年までに明らかにしたように,ダイズの根系はパイプモデルに近似した構造を有することから,主根や分枝根基部など根系の異なる部分の通導速度は一定の関係を示すと予測される.そこで,根系各部分の通導速度をヒートパルス法によって測定,比較することを試みた.従来の方法ではセンサーを測定部の組織中に挿入して測定するが,分枝根の基部は直径が2ないし3mm程度の細いものであるため,センサーを測定部に接触させて測定した.その結果,接触法でも安定した測定結果の得られることがわかった.しかし,根系の部分別の通導速度には一定の傾向は認められず,現在,さらに測定および解析を継続中である. 2.6種のマメ科作物についてバイプモデルとの適合程度を検討した結果,エンドウとソラマメの根系では生育にともなって伸長生長が肥大生長より優勢となるが,インゲンマメ,ダイズ,アルファルファ,赤クローバでは肥大生長が伸長生長より優勢となることがわかった.また,根系構造からみると,パイプモデルから外れる細根量が,インゲンマメ,ダイズで最も多く,アルファルファ,赤クローバでは少なく,マメ科作物の吸水部分である根系構造の特性を種によって類型的に把握できることがわかった. 3.自然の土壌で想定される不均一な水分条件が植物体の吸水および生長に及ぼす影響を知るため,コムギ幼植物を根分割法で2槽ポットに栽培し,各槽に湿潤と乾燥の異なる土壌水分処理を行った.その結果,根は湿潤側で旺盛に生長したが,乾燥側の土壌の乾燥程度が大きい条件下では乾燥側でも分枝根がわずかに生長することが認められた.また,このような条件下では根際の土壌水分が周囲に比較して相対的に高くなった.したがって,根は湿潤側で吸水し乾燥側でわずかながら排水することによって乾燥側でも生長を継続させているとみられた.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 田中 典幸: "シチメンソウSuaeda japonika Makino の生育と組織形態に関する研究" 佐賀大学農学部彙報. 73. 69-76 (1992)
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[Publications] 原田 二郎: "不均一な土壌水分条件がコムギの根系の発育と吸水に及ぼす影響" 日本作物学会九州支部会報. 59. 55-56 (1992)
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[Publications] 田中 典幸: "パイプモデル理論に基づくダイズ根系の通導組織の量的解析" 日本作物学会九州支部会報. 59. 62-63 (1992)