1990 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原糸状菌感染植物の生体防御と病原体受容における情報伝達機構
Project/Area Number |
02454051
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
道家 紀志 名古屋大学, 農学部, 教授 (80023472)
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Keywords | <Phytohythora>___ー属菌 / <Biporalis>___ー <zeicola>___ー / <Alternaria>___ー <solani>___ー / 過敏感細胞反応の誘導 / 情報伝達因子 / 感染誘導 / グルカンサプレッサ- / O_2^-の生成反応 |
Research Abstract |
<Phytophthora>___ー <infestans>___ーの菌体壁成分(HWC)を処理したナス科植物のジャガイモ、トマト、タバコ、およびピ-マンの培養けん濁細胞はいずれも過敏感細胞死反応を起こすが、それぞれの植物に罹病する<Phytophtora>___ー属菌の水溶性グルカン(ジャガイモとトマトではP__ー.<infestans>___ー、ピ-マンではP__ー.<capsici>___ー、タバコではP__ー.<nicotianae>___ー f.sp.<nicotianae>___ーのグルカン)が過敏感反応の誘導を抑制し、<Phytophthora>___ー属菌の宿主選択におけるグルカンサプレッサ-の関与が示された。また、インゲン、ダイズ、ソラマメ、ササゲなどのマメ科植物の細胞もHWCに対して過敏感細胞反応を示し、HWC処理による過敏感反応誘導の始動時には、ジャガイモ細胞同様に、いずれの植物細胞もNADPH依存の0_2^-の生成反応を活性化させた。この反応が広く植物の異物識別反応の化学的メディエ-タとして関与する可能性を広げた。HWC処理による過敏感反応の誘導過程において、0_2^-生成反応の活性化に先だって原形質膜結合Ca^<2+>の遊離がおこり、GTP結合タンパク質の増加、プロテインキナ-ゼ依存性のフォスフォリパ-ゼA2の活性化されることが判明した。 一方、イネとトウモロコシに選択的に病原性を発現する<Bipolaris>___ー <zeicola>___ーに関しても病原体受容機構を解析し、本菌は胞子発芽過程に、非病原菌の侵入に対するイネおよびトウモロコシ細胞の拒絶応答を抑制するBZR毒素を生産することが判明し、しかもこのBZR毒素は単独では活性を示さない4つの類似複合成分からなることを明らかにした。また、<Alternaria>___ー <solani>___ーの感染因子として<Alternaric>___ー <acid>___ーが胞子発芽過程に生産され、それが宿主のジャガイモおよびトマトの原形質膜のH^+ーATPaseに直接影響を与えないが、膜における能動的H^+ー輸送を阻害することにより、宿主の原形質膜機能にが低下し、能動的拒絶反応の誘導抑制が菌の感染受容の一原因になっていることを示した。
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[Publications] 道家 紀志: "免疫処理による植物病害抵抗性の増強:ジャガイモ疫病" 植物防疫. 45. 101-105 (1991)
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[Publications] Xiao,J.Z: "Riceーspecific toxins produced by Bipolaris zeicola,race 3;evidnce for role as pathogenicity factors for rice and maize plants" Physiol.Mol.Plant Pathol.(1991)
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[Publications] 奥 八郎(編集),道家紀志(分担執筆): "植物感染生理学最近の進歩 過敏感反応と情報伝達" 植物感染生理学最近の進歩刊行会, 287 (1991)