1990 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物由来のメタロチオネインの単離とその遺伝子解析
Project/Area Number |
02454058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅野 充男 東京大学, 農学部, 教授 (10007677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 信義 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
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Keywords | メタロチオネイン / ダイズ / 抗体 / 遺伝子 / システイン / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
高等植物中に動物のほ乳類で発見されているようなDNAの直接転写翻訳産物としてのタンパク質のメタロチオネイン(MT)が存在するか否かについてはいくつかの検討がなされているが、まだ結論が得れていない。 そこで本研究ではまず動物のMTの抗体を用いてダイズの根のタンパク質抽出物中に抗体と交叉反応を有するタンパク質を検索し、そのようなタンパク質の存在を確認できた。免疫組織化学法でタンパク質の分布をダイズの根の光学顕微鏡用切片に付いて調べたところ、根の先端部分に蓄積が認められた。さらにimmunohybridizationによりダイズcDNA libraryから抗体反応性のあるタンパク質を合成するcDNAをクロ-ニングし、決定した塩基配列からそのアミノ酸配列を調べたがMTとは異なるタンパク質であった。 ついでこのタンパク質の遺伝子のクロ-ニングを試みた。まず、ほ乳類のMTのDNAの塩基配列のなかでよく保存されているN末端側の配列から21mer(アミノ酸7残基分)のオリゴヌクレオチドプロ-ブを合成し、これと相同性のある配列をダイズのcDNAライブラリ-からクロ-ニングした。この様にして単離されたcDNAクロ-ンは0.7kbの塩基数で、その塩基配列を決定した。その推定されるORFからアミノ酸配列を推定したところ、コ-ドされているタンパク質は79のアミノ酸残基からなり、そのなかにCysを18%含み、かつCysに富む部分がタンパク質のN末端とC末端の両極に位置し中央にCysを含まないおよそ30のアミノ酸残基からなる部分を有する特徴的なタンパク質である事が判明した。今後はこのタンパク質の特性や植物間分布に付いて検討する予定である。
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