1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々 恭二 京都大学, 防災研究所, 教授 (30086061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日浦 啓全 高知大学, 農学部, 助教授 (30046495)
平原 和朗 京都大学, 防災研究所, 助教授 (40165197)
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Keywords | 地すべり / 斜面崩壊 / 人口衛星測量 / GPS / 災害危険地図 / ハザードマッピング |
Research Abstract |
近年著しく進歩した人工衛星測量(GPS)を用いて斜面土層の変動を観測し斜面崩壊・地すべりの危険度を予知するために、本年は次の研究を行った。 1)静止測量法により地すべり移動観測を行った。徳島県・善徳地すべり地で平成元年12月と平成4年9月の2回、各々約2時間地すべり地内の測点と地すべり地外にある不動点と思われる測点間の基線を測量した。解析結果から地すべり地内の測点について斜面下向きの妥当な三次元移動ベクトルが得られた。移動量については同じ観測期間に同地すべり地内に設置し観測を行っていた三次元せん断変位計の観測結果から予想されるものより小さかったが、移動ベクトルの方向、特に俯角が斜面よりも大きいことは一致し、結晶片岩地すべりの特徴である斜面土層の地下侵食による沈下を捉えることができた。結果としてGPS測量により地すべり移動観測は精度上充分利用可能であることがわかった。 2)GPS受信機は高価でありコスト的に実用化が難しいと言われるが、効率よく測量を行いコストパフォーマンスを向上させる方法についても検討した。静止測量法に比べ1点当り短時間で測量できる準キネマティック法と高速静止法を適用し、精度の評価を行った。研究所屋上で行った準キネマティック法のテストでは、2時間程度で多数点の測量を2巡すれば、1点あたり10分×2回の測量でも2時間静止測量を行ったとほぼ同等の精度が得られた。木等が少なくGPS衛星の電波の受信が途切れない地すべり地での測量に適すると考えられる。一方高速静止法用の受信機が平成5年から国内で市販され始めたのでこれを善徳地すべり地で試用した。1点あたり10〜20分で測量でき、移動中の植生に全く影響を受けない利点があるが、精度の点で準キネマティック法に劣った。しかし今後測量時間の組合せの工夫により精度を向上できると考えられる。
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