1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福代 康夫 東京大学, 農学部, 助教授 (10165318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安元 健 東北大学, 農学部, 教授 (20011885)
井上 博明 東京大学, 農学部, 助手 (40223268)
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Keywords | 下痢性貝毒 / 渦鞭毛藻 / <Dinophysis>___ー |
Research Abstract |
平成2年11月から3年2月には、東京湾において下痢性貝毒の原因となる<Dinophysis>___ー属のプランクトンが全く発生しなかったため、3年2月上旬に宮城県気仙沼湾に広生したD__ー.<acuminata>___ーを採集し実験に用いた。採集したD__ー.<acuminata>___ーは直ちに東京大学の研究室に持ち帰り、落射式蛍光顕微鏡を用いて420nmの波長を持つ青紫色励起光によって細胞内色素体の観察を行った。この際、D__ー.<acuminata>___ーの細胞内色素量の変化をとらえる上での最適波長を調べるため、本研究の設備備品費で購入した顕微測光装置を用い、D__ー.<acuminata>___ーの色素体から出る光の470、570、620nm波長の成分量を測定したところ、620nm成分に最大光量と個体差が認められ、色素量の変化を最も鋭敏にとらえていると考えられたので、本実験における観察波長を620nmとした。D__ー.<acuminata>___ーの培養中における色素量の変化は、D__ー.<acuminata>___ーをキャピラリ-で単離し、窒素とリンおよびビタミンなどを添加した濾過海水中で、D__ー.<acuminata>___ーのみ、およびD__ー.<acuminata>___ーと20μm以下の微小プランクトンを混在させて培養し、上記620nmの波長の光成分量の変化を測定して調べた。光量の測定は30〜40細胞について、培養開始時、開始後1週間および2週間目に行ったが、濾過海水中で培養したD__ー.<acuminata>___ーは培養開始時と比べ色素量にほとんど変化がみられないのに比べ、微小プランクトンと混在させたD__ー.<acuminata>___ーは色素量が大きく減少していた。この結果、D__ー.<acuminata>___ーは、微小プランクトンを摂取した場合でもその色素体をそのまま直接に自己の色素体として利用しているのではないことが示唆された。しかし、この結果は過去の観察結果と矛盾するものであるため、今後も継続して同様の観察と分析を行う必要性が考えられた。
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