1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 克 京都大学, 農学部, 助教授 (20155170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊原 治彦 京都大学, 農学部, 助手 (90183079)
青海 忠久 京都大学, 農学部, 助手 (10144338)
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Keywords | ヒラメ仔魚 / 変態 / 胸腺 / コルチゾル / 免疫機能 |
Research Abstract |
内分泌系に制御された異体類の変態機構は、多くの点で両生類の変態機構と共通性を持つ。後者の変態に際し、幼生型から成体型への体の造り換えと関連して免疫機能に変化が生じ、特に胸腺機能が低下することが示唆されている。胸腺は、哺乳類では個体発生初期における免疫機能の発現に極めて重要な役割を果たすことが知られている。今年度は、ヒラメの変態期における胸腺の変化に注目して研究を行った。 ヒラメ仔魚をふ化直後より水温16℃と22℃で飼育し、変態を完全に完了するまで発育の進行に伴う胸腺体積の変化を組織学的手法で測定した。22℃区で変態中期に胸腺体積の相対的縮小が確認された。これまで数種の魚類の成魚や幼魚では外因性コンチゾルが胸腺機能を抑制することが示されている。ヒラメの間腎組織はふ化後9日の仔魚で初めて確認され、変態期に間腎細胞核径が大きくなることが組織学的に判明した。RIA法によって測定した体組織中コルチゾル濃度は、22℃区では変態初期〜中期に著しく上昇した後、変態後期には元のレベルに低下した。一方、16℃区では変態期に胸腺体積やコルチゾル濃度に22℃区ほど顕著な変化は認められず、これらは水温依存性が高いことが明らかとなった。さらに、変態を完了したヒラメ稚魚を用いて飼育水中へコルチゾルを添加する実験により、胸腺が著しく退縮することが確認された。 以上の結果より、ヒラメの変態においても胸腺機能の変化が生じる可能性や内分泌系と免疫系の密接な関連が示唆された。異体類の変態のメカニズムを明らかにする上で、変態期における免疫機能の変化とその役割を解明することの重要性がクロ-ズアップされた。
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[Publications] C.Chantanachookhin: "Comparative study of the ontogeny of the Iymphoid in three species of marine fish" Aquaculture. 99. 143-155 (1991)
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[Publications] M.Tanaka: "A thyroxine surge during development of black sea bream larvae and its ecological implication in inshore migration" Nippon Suisan Gakkaishi. 57. 1827-1832 (1991)
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[Publications] R.Kimura: "Prolactin production during larval and early juvenile periods of euryhaline marine fish,black sea hream" Nippon Suisan Gakkaishi. 57. 1833-1837 (1991)
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[Publications] M.Tanaka: "Euidence for thymus involution in metamorphosing Japanese flounder(Paralichtys olivaceus)" Aquaculture. (1992)